【熊本地震】県農畜産物に影響も 経済界、支援の動き広がる


社会
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 熊本、大分両県で相次ぐ地震により、県内企業の生産活動などへの影響は現時点では限定的という見方がされているが、熊本は農畜産物の一大産地でもあり、市場の一部で影響が見られる。JAグループ沖縄が災害支援本部の設置を表明するなど、企業や経済団体に支援の動きが広がる。

 19日に牛の競りを控える宮古家畜市場。定期的に子牛を買い入れている家畜改良事業団(東京)の熊本種雄牛センター(熊本県西原村)が、施設被災や輸送路の断絶により、予定していた約30頭の購入を取りやめた。宮古島の農家に約2千万円の影響が出る見通し。
 同センターは電力や水道が止まったほか、交通路の閉鎖など機能がまひし「いつ復旧するか見通しが立っていない」(同事業団)。宮古地区では同センターの種牛から繁殖用の精子を調達しており、今後の供給にも懸念が出ている。
 17日に牛の競りがあった南部家畜市場では、熊本の大口購買者の一人が参加を見合わせた。同市場では昨年、総取引数3832頭のうち1割程度が熊本に買われた。市場担当者は「16日の地震の後は連絡が取れていない。牛取引もだが、購買者や家族の安否が心配だ」と表情を曇らせた。
 JAグループ沖縄は新崎弘光JA沖縄中央会長を本部長とする「熊本地震災害支援対策本部」を設置し、募金活動や支援物資の輸送のほか、農家の施設や自動車の被害を確認できる資格を持った職員の派遣といった取り組みを検討する。
 被害の全容が見通せない中で沖縄電力は18日早朝、九州電力からの派遣要請を受けて要員12人と高圧発電機車2台、高所作業車2台など計6台をフェリーで阿蘇方面に派遣した。電気が不通になった地域で発電や復旧作業に携わる。
 県建設業協会(下地米蔵会長)は九州建設業協会の事務局を務めており、九州各県の協会と連絡を取り合って状況確認を行った。18日現在、災害支援の要請はない。二次災害を誘発する懸念もあることから「現場の状況が把握できず、今は待ちの状態だ。要請や指示があれば人を送る準備はできている」(協会事務局)と語る。
 沖縄経済同友会は27日に開く定期総会で会員に義援金を呼び掛けるほか、県中小企業団体中央会も独自の被災地支援策を検討する。

※注:新崎弘光JA沖縄中央会長の「崎」は、「大」が「立」の下の横棒なし