【熊本地震】「私にできることを」 自身被災も支援活動


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
自らも被災しながら、大学の避難所で避難者の支援に取り組む赤田紗都さん=17日、熊本市の県立熊本大学

 【熊本県で当間詩朗】熊本地震では県出身者も被災し、避難所での不便な生活を余儀なくされている。こうした中、那覇市出身の赤田紗都さん(21)=熊本県立大学4年生=は大学に設置された避難所に身を寄せながら、ボランティアサークルの学生らと共に被災者支援に乗り出した。赤田さんは「断水や停電などもあり不安だったが、少しずつ余震は減ってきている。前を向いていきたい」と言葉に力を込めた。

 14日の地震発生時は、アルバイト先での玩具店で片付けをしていた。すさまじい揺れで思わず地面に膝をつき、身の安全を図ろうと座り込んだ。帰宅後は続く余震に恐怖を覚え、近所の人々が集まっている公園で過ごした。その後、友人からの連絡で大学に避難所が設置されたことを知る。「1人暮らしでとても怖かった。大学にいけば友人もいるし安心できると思った」と振り返る。
 避難所に行くと地域の高齢者から子どもたちまで、千人以上が身を寄せ合っていた。お年寄りの介助や案内などのボランティアとしてせわしく動いている学生らの姿が目に止まった。
 「私にもできることがあれば力になりたい」。赤田さんはボランティアの支援活動に参加。トイレ前で待機し、停電時や断水時のトイレの使用方法を避難者に丁寧に説明した。「流さないで、バケツの水を使って下さいね」。説明したお年寄りからの「ありがとう」の言葉が胸に染みる。
 就職活動も控えるが、「この経験も何かに生かしていきたい」と前を見据えている。大学の避難所は18日昼には閉鎖されるが、市内の被害は甚大で、いまだに多くの人が避難所での生活を余儀なくされている。
 街中の店舗に十分な食料がないことに触れながら、「私はけがもなく、大丈夫。熊本には食料やおむつなどの消耗品が足りていない。多くの人からの支援がまだまだ必要だ」と避難者にまなざしを向けた。