「国連勧告は危険」「撤回要求は県民侮辱」 「先住民族」で国会議員に賛否


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 【東京】木原誠二外務副大臣が、沖縄の人々を「先住民族」とする国連勧告に撤回を働き掛ける考えを示した件は、県関係国会議員の間で波紋を広げている。自民党国会議員からは「勧告は沖縄にとって危険な内容を含む」などと撤回に賛同があったが、慎重な意見もあった。一方、野党国会議員は「県民への侮辱だ」などと反発が大勢を占めた。

 西銘恒三郎衆院議員(自民)は「国会議員の質問にコメントする立場にない。41市町村の市民、町民、村民は沖縄県民である。沖縄県民は日本国民である」と主張した。
 国場幸之助衆院議員(自民)は「沖縄は言語学的にも民俗学的にも日本の源流を残す地域という特色もある。基地負担の在り方を含め、公平な国づくりの実現が不可欠だ」と指摘した。
 宮崎政久衆院議員(自民)は「国連勧告は県民の知らない中で県民を先住民族とし、沖縄にとって危険な内容を含むことを広く県民に知ってもらいたい」と勧告撤回に賛同した。
 比嘉奈津美衆院議員(自民)は「慎重かつ冷静に人権問題は議論しなければならないが、現状で県民は誇りある日本人として、政府から働き掛けていただきたい」と注文を付けた。
 赤嶺政賢衆院議員(共産)は「勧告は国内の人権や自由を尊重するよう求めたもの。民意を一顧だにせず、新基地建設を押し付ける日本政府の姿勢こそ撤回されるべきだ」と訴えた。
 下地幹郎衆院議員(おおさか維新)は「かつて『琉球』時代が長く『日本』でなかった時代があったのも間違いない。史実に基づいた学術的判断は政治家の領分ではない」とした。
 照屋寛徳衆院議員(社民)は「国際機関の共通認識を否認し、撤回、修正を働き掛けるとの答弁は非常識。琉球王国の否定と併せ、構造的差別に抗(あらが)う県民への侮辱だ」と批判した。
 玉城デニー衆院議員(生活)は「独特の文化、歴史、伝統、言語は今も県民の大切な帰属意識の源。それらを法的に保護し、差別を否定する勧告は政府も尊重すべきだ」と求めた。
 仲里利信衆院議員(無所属)は「勧告は、基地の不均衡な集中や沖縄の歴史の否定が沖縄差別や人権侵害を招いていることを明らかにし、沖縄との対話を促しており評価する」とした。
 島尻安伊子参院議員(自民)は「国連勧告への対応は外務省など関係省庁で適切に対応してもらえるだろう。沖縄振興を担当する大臣としてのコメントは控えたい」と言及を避けた。
 儀間光男参院議員(おおさか維新)は「独自の伝統文化はあるが、それで先住民族と位置付けるのは拙速過ぎる。県民自体がその意識を持っているのか甚だ疑問がある」と指摘した。
 糸数慶子参院議員(無所属)は「琉球併合は国際法違反で、本土防衛目的の沖縄戦、過重な基地負担など政府の沖縄差別は明確。政府は速やかに勧告を受け入れ是正すべきだ」とした。