キングス初戦取る 金沢に96―86 TKbjリーグPO第1戦


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キングス―金沢 第3クオーター、一気にリングに向かってシュートを放つドゥレイロン・バーンズ=30日、沖縄市体育館(又吉康秀撮影)

 プロバスケットボールTKbjリーグの琉球ゴールデンキングス(西地区2位)は30日、沖縄市体育館で金沢武士団(同7位)とプレーオフ(PO)ファーストラウンド初戦を行い、96―86で勝利した。キングスはゲーム序盤から岸本隆一がリングにアタックして点を重ねたが、日本人選手を中心に攻める金沢を止められず、第1クオーター(Q)から接戦になった。第2Qはキングスが攻守でいい形をつくれず、金沢と互いにリードを奪い合うクロスゲームになった。46―49とリードされて迎えた第3Qはシュートが入らないキングスに対し、金沢はテンポ良く得点した。一時は11点のビハインドを背負ったキングスだったが、ドゥレイロン・バーンズのアウトサイドやアンソニー・マクヘンリーのインサイドなどで逆転すると、第4Qも攻撃の手を緩めずに金沢を引き離した。金沢との第2戦は1日午後1時から同体育館で行われる。(観客3286人)

相手守備を引きつけてパスをさばく岸本隆一

 【西カンファレンス】
▽1回戦第1戦(琉球1勝)
琉球ゴールデンキングス(リーグ2位)
96―86(23―22,23―27,25―20,25―17)
金沢武士団(リーグ7位)

 【評】第3Qから本領を発揮したキングスが劣勢をはねのけて逆転勝ちした。キングスは前半、思うように攻撃の形をつくれず、金沢の勢いに押される時間が続いた。後半に入ってもリズムをつかめず、一時は11点を追いかけた。それでも徐々にボールと人が動くようになり、じりじりと点差を詰めた。最後は運動量で金沢を圧倒して白星を引き寄せた。金沢は終盤に足が止まったことが響いた。(平安太一)

◆80点台は取られすぎ
 伊佐勉監督(キングス)の話 ハイスコアになったが、今年のキングスはオフェンス型のチームなので、自分たちのペースで試合を進められた。ただ80点台は取られすぎだ。(金沢のシュートの)パーセンテージも高い。もう少しタフショットを打たせる努力をしたい。

◆後半走られた
 鈴木裕紀HC(金沢)の話 前半はディフェンスもリバウンドも我慢強くやった。後半にボールが回らなくなり、オフェンスが悪くなったときキングスに走られた。セカンドチャンスもかなりやられたので、リバウンドの意識をみんなで上げたい。

◆後半加速 11点差逆転
 バーンズが「流れが変わるキーポイントだった」と感じる場面があった。第3Q残り約4分。金沢が放ったシュートをマクヘンリーがたたき落とし、ボールを受けたバーンズが一気にリングへ向かってシュートをねじ込んだ。
 一時は11点のビハインドを背負う苦しいゲームだったが、この得点で4点差まで詰め寄った。伊佐勉監督は「(金沢を)とらえた」と確信した。
 第3Qに大きく試合が動いた。次々とリングを射抜く金沢が主導権を握り、キングスは劣勢に回った。伊佐監督がタイムアウトで流れを切っても金沢の勢いは衰えず、リードは開く一方だった。それでもバーンズは「自分たちのやるべきことを信じていた」。ボールと人を動かして得点を狙うキングスのバスケを貫いた。
 細かくパスをつないで金沢の守備を振り払い、好機にはマクヘンリーがリングに向かってシュートを決めた。バーンズの3点弾も当たり、第3Qの終盤に試合をひっくり返した。
 バーンズは「仲間が僕を見つけてくれた」とパスを回してくれたことに感謝した。
 伊佐監督は「きょう勝つか負けるかで大きな差があった」とPOの初戦で白星をつかんだことに安堵(あんど)する。ただ、強敵の金沢が相手では第2戦も激戦になることは必至だ。バーンズは「明日もタフな試合になるはずだが、やるべきことを徹底したい」と勝利に浮かれず次戦を見据えた。
(平安太一)

◆岸本が序盤から果敢にアタック 苦しい前半支える
 エースの岸本隆一は何度もリングへアタックした。試合序盤から積極的な攻撃で得点を狙い、「自分で行ってやろうという意識だった」。第1Qだけで12点をたたき出し、金沢との接戦になった苦しい前半を支えた。
 得意の3点弾を抑えられても、「2点を重ねていこう」と切り替えた。ドライブでインサイドに切れ込み、相手のファウルも誘発した。「相手にとって嫌な攻め方ができた」とうなずく。
 11点を追いかける時間には、金城茂之や小菅直人、大宮宏正のベテランが「我慢しよう」と仲間を鼓舞しているのに気付いた。「チームとしてまとまっている」と実感し、最後まで強い気持ちを維持し続けた。
 初戦の勝利に「ほっとしている」と言い、「明日もエナジーを落とさない」と勢いを第2戦につなげることを誓った。