沖縄への核持ち込みは「権利」 米が歴史書に明記


この記事を書いた人 新里 哲

 沖縄の日本復帰後も有事には米軍が核を持ち込めるとした日米の密約について、米国防総省がこのほど発行した歴史記録書で「米国は危機の際にそれら(核)を再持ち込みする権利を維持した」と明記していることが分かった。春名幹男早稲田大客員教授が7日発売の月刊誌「世界」(岩波書店)で明らかにした。

 米側ではこれまで密約の存在を示した機密文書が後に機密指定を解除されることはあったが、広く公表されることが前提の文書で核再持ち込みを明記するのは初めて。
 春名氏は「米国は今や隠すべき密約ではなく公然たる事実だと認識している」と分析した。
 文書は米国防総省が2015年に作成した、メルビン・レアード元米国防長官の在任時代を記録した歴史書。レアード氏は沖縄の日本返還をはさんだ1969~73年に国防長官だった。
 文書は71年の沖縄返還協定について「第7条は69年の佐藤・ニクソン共同声明が示したように、日本領土内で核兵器保有を禁止する日本の政策に『背馳(はいち)』しないよう返還を実施すると明記している」と解説。一方、「米国は(核)兵器を撤去するが、危機の際にはそれらを再持ち込みする権利を維持した」と言及し、これまで密約とされていた有事の核兵器再持ち込みを「権利」として明記している。
 春名氏は、琉球新報の取材に、「核抑止力の存在を周辺国に示す狙いもあると思われる」と分析した。