キングス、有明決める TKbjリーグプレーオフ西準決勝第2戦


この記事を書いた人 志良堂 仁
第1クオーターに相手守備をかわしながらシュートを決める金城茂之=8日、沖縄市体育館(普久原裕南撮影)

 プロバスケットボールTKbjリーグの琉球ゴールデンキングス(レギュラーシーズン西地区2位)は8日、沖縄市体育館で大阪エヴェッサ(同6位)とプレーオフ地区準決勝第2戦を行い、83-72で勝利した。キングスは14、15の両日に東京の有明コロシアムで開催されるファイナルズ進出を決めた。
 キングスは序盤から積極的な攻撃で点を重ねたが、ミスを繰り返してリズムに乗ることができなかった。第3クオーター(Q)は大阪に3ポイントシュートを多く決められてリードされたが、第4Qに攻守で力強くプレーして逆転勝ちした。
 14日のファイナルズ地区決勝では京都ハンナリーズ(同1位)と対戦する。

 【西カンファレンス】
▽準決勝第2戦(琉球2勝)
琉球ゴールデンキングス(リーグ2位)
83―72(23―21,16―15,14―23,30―13)
大阪エヴェッサ(リーグ6位)
(琉球は西カンファレンス決勝進出)

 【評】キングスが第4Qに爆発して大阪に逆転勝ちした。キングスは序盤からミスを繰り返し、前半だけでターンオーバーが11と自分たちで流れを悪くした。それでも守備で大阪を抑えて接戦に持ち込むと、リードされて迎えた第4Q、大阪のシュートが落ち始めた場面で点を重ねて一気に引き離した。大阪は第3Qまでの粘りが最後まで続かなかった。(平安太一)

◆タフな試合勝ち ほっとしている
 伊佐勉監督(キングス)の話 タフな試合だった。大阪のパワーがすごくて第3Qまで受け身に回っていた。第4Qで引き離すのはうちの勝ちパターンではない。有明だったら前半で勝負を決められている。苦しいゲームだったけど2戦で仕留めることができてほっとしている。

◆うまさと力まざまざ
 桶谷大HC(大阪)の話 キングスのうまさと球団の力を第4Qにまざまざと見せつけられた。第4Qはキングスの遂行力が高く、それに加えて会場の雰囲気を肌で感じてやられた。選手にはチームで40分間を戦えばいい結果が生まれると伝えていた。

キングス―大阪 第4クオーターに逆転の3ポイントシュートを決める岸本隆一=8日、沖縄市体育館(普久原裕南撮影)

◆最終Q、鮮烈逆転劇/岸本、冷静にチーム鼓舞
 一歩一歩、大阪の背中に近づいていた。ラベネルはインサイドで点を重ね、金城茂之は速攻に絡む。6点ビハインドで迎えた第4Q、ギアを上げたキングスが攻め立てた。そして残り7分過ぎ、岸本隆一が外からリングを射抜く。「いい判断ができていた」と語るエースの一本で、キングスが試合をひっくり返した。
 有明へ勝ち上がるための大きな試練だったのかもしれない。第1Qだけでターンオーバーが8つとミスを重ね、リーグトップの守備力を誇る大阪を前にキングスらしいテンポの良さは影を潜めた。伊佐勉監督は「簡単にプレーしようとして力強さも感じられなかった」と厳しく指摘する。重苦しい時間が流れ、キングスは我慢し続けるしかなかった。
 第3Qに3点弾が当たり出した大阪が主導権を握ったが、伊佐監督は「1点ずつ返していこう」と選手たちを鼓舞した。岸本は「うまく行かなくても人とボールを動かそうと思った」と自分たちのバスケを貫き、第4Qに流れを引き寄せた。
 昨季は超えられなかった地区準決勝の壁を越え、キングスは新たな一歩を踏み出した。伊佐監督は「良かった」と勝利に胸をなで下ろす。一方、試合ではミスが相次ぎ「危機感も大きい」。次戦の京都も難敵で、激戦になることは間違いない。目指している場所に近づくためにも、まずは大阪戦で見つかった課題を克服しなければいけない。(平安太一)

第2クオーター、積極的にインサイドへ向かう並里成

◆大阪・並里「楽しかった」/故郷で古巣と
 誰にも止められないスピードと、相手守備を寄せ付けない華麗なシュート。大阪の並里成は昨季までプレーしたキングスのホームコートで持ち味を発揮した。「家族のような存在」と語る古巣の仲間たちと戦い、「楽しかった」と汗をぬぐった。
 第1戦は第2Qにブザービーターの3点弾を決めるなど、13得点4アシストと爆発した。この日も点が欲しい場面でフリースローを獲得するなど、要所で活躍して8得点。コートでは岸本隆一や山内盛久などとマッチアップし、「一緒にプレーできることを誇りに思った」。
 大阪に移籍した今季は「挑戦のシーズン」だった。有明にたどり着くことができず、「まだまだ努力が足りないと神様に言われているのかな」と苦笑いする。それでも「ステップアップして次のステージに向かう」と胸の中の炎が消えることはない。