全盲の演歌歌手、木幡直希さん「夢は紅白」 祖母の故郷・伊江で熱唱


この記事を書いた人 志良堂 仁
FMもとぶに生出演する木幡直希さん(左)と祖母の八重子さん(左から2人目)=4月30日、伊江村のFMもとぶサテライトスタジオ

 【伊江】演歌の道で生きていくという思いを自作の詩にしたためたデビュー曲「俺の始発駅」を歌う全盲の演歌歌手、木幡(こわた)直希さん(23)が、祖母・八重子さんの故郷の伊江島を訪れ、ゆり祭りのステージや高齢者施設、福祉作業所など村内各所を巡った。昨年12月にメジャーデビューしたことを報告し、熱唱した。4月30日には、デビューのきっかけとなったFMもとぶに生出演。感謝の気持ちを伝えた。

 木幡さんは愛知県名古屋市出身。生まれた時の体重はわずか750グラムだった。未熟児網膜症を発症し、全盲と診断を受けた。5歳から祖父母の下で成長し、母親代わりの八重子さんは一番の理解者だ。盲学校へ通う往復約2時間の道のり、八重子さんが運転する車中では演歌が流れていた。木幡さんは「祖母が好きな演歌を毎日聞いているうちに演歌が大好きになった」と話す。
 高校生だったある日、「みんなが喜ぶことをしたい」と八重子さんに打ち明けた。二人三脚で老人ホームなどを慰問するボランティア活動を始めた。軍歌や演歌を歌うとお年寄りから喜ばれ、その傍ら思いを詩に託していた。
 孫の木幡さん作詞の歌が完成すると、八重子さんは伊江島の姉の内間シゲ子さんの元へCDを送った。内間さんがFMもとぶにリクエストしたところ、リスナーから「涙が出てくる」などの反響が大きく、デビューにつながったという。
 4月30日、FMもとぶサテライト伊江島のスタジオを訪れ、「ナエちゃんのレッツラゴー60分」に生出演した。木幡さんは「出発は伊江島。沖縄が発祥。皆さんのおかげです。夢は大きく紅白出場。これからも応援をよろしくお願いします」と謝意を述べた。
(中川廣江通信員)