現職の4年間をチェック<県議のお仕事>5


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 任期満了に伴う第12回県議会議員選挙は5月27日告示、6月5日に投開票される。この4年の県議会は主に基地問題で揺れた。米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設問題を巡る仲井真弘多前知事の埋め立て承認に対し、県議会では初めて知事の辞任を求める抗議決議が可決される異例の事態に発展した。2014年12月の県政交代で与野党が入れ替わった。辺野古移設に反対する翁長雄志知事を支える与党が過半数を確保したが、政府が移設を進める中、知事の対応などについて与野党で攻防が激化し、緊迫した議会運営が続いた。4年間を振り返る。(’16県議選取材班)

12年・識名トンネル
 改選後の6月定例会で、県が2006年に発注した識名トンネル工事の虚偽契約問題を巡り、真相を解明するための調査特別委員会(百条委員会)が設置された。百条委が設置されるのは37年ぶりで、波乱の幕開けとなった。百条委は翌年12月「談合と指摘されてもやむを得ない著しく不適切な対応」と結論付け、調査を終えた。
 9月定例会では、米海兵隊輸送機MV22オスプレイの県内配備反対を求める緊急抗議決議を全会一致で可決した。同様の決議は6月定例会に続いて3度目となり、県議会の総意として反対姿勢を明確に示した。

13年・東京要請行動
 1月、オスプレイ配備撤回や米軍普天間飛行場の県内移設断念を求めた東京要請行動で、県議会全会派が県内41市町村の首長や議会議長、各界の代表者らと共に「建白書」を安倍晋三首相に手渡した。
 2月定例会では、4月28日を「主権回復の日」として、安倍首相が政府主催の式典を開く方針を示したことが問題化。開催撤回を求める抗議決議を全会一致で可決した。採決で自民は退場した。
 9月定例会では、障がいのある人に対する差別の解消を図る「県障害のある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例案」を全会一致で可決した。

14年・県政交代
 13年末の仲井真弘多知事(当時)の名護市辺野古の埋め立て承認を受け、1月の臨時会で、県議会史上初となる知事に対する辞任要求決議を賛成多数で可決した。2月定例会では、承認の経緯を審議する百条委員会が設置された。
 12月には翁長雄志知事が就任して県政が交代し、県議会で与野党が逆転。翁長県政与党が多数を占める議会構成となった。

15年・百田発言
 6月定例会は、公有水面埋め立て事業で県外土砂や石材の搬入を規制する与党提案の条例を賛成多数で可決した。同年11月に施行された。今後、辺野古移設で使われる県外土砂の搬入に一定の縛りをかけ、建設工事に影響を与える可能性もある。
 6月定例会では作家の百田尚樹氏が自民党の勉強会で「沖縄の二つの新聞はつぶさないといけない」と発言したことに対する抗議決議も賛成多数で可決した。全国の報道機関への言論圧力と県民侮辱があるとして問題視した。

16年・手話言語条例
 3月議会で、手話を言語として認識し、手話の普及を目指す「県手話言語条例」が全会一致で可決。超党派の議員でつくる検討委員会の提案によるもので、4月1日に施行された。