サンゴ130メートル大群落 伊是名・具志川島海域で確認


この記事を書いた人 新里 哲
伊是名村具志川島周辺海域で確認されたハナヤサイサンゴの大群落(中野義勝氏提供)

 琉球大学熱帯生物圏研究センターの中野義勝技術専門職員らのグループと海洋写真家の案納昭則氏はこのほど、伊是名村具志川島海域のサンゴ礁で、ハナヤサイサンゴ属の1種による大群落を確認した。中野氏によると群落はサンゴ礁の沖側の縁に当たる礁縁に沿って南北に130メートル、礁縁から東の沖側に伸びる根の縁脚に沿って最大50メートルにわたって分布している。ハナヤサイサンゴの仲間でこれほど大きな群落は過去に記録がなく、国内でも最大級という。

 中野氏と案納氏らが昨年6月確認した。研究成果は28日に琉球大で開かれる沖縄生物学会で発表される。
 今回確認された群落は層の厚さが1メートル以上あり、かなりの年月をかけて形成されたとみられる。中野氏は「近年の白化現象をも生き延びて、数百年単位で形成されたのではないか」と推定する。
 礁縁部は通常、波が激しく、岩盤となるサンゴの死骸が波に流されたり、砕けたりするため大きな群落が形成されにくい。今回のように礁縁部で同一種による群落が確認されるのはまれ。さらに群落はクローンに近く、受精せずに単為生殖で形成された幼生を生む可能性があり「ハナヤサイサンゴ属では過去に記録がほとんどない」(中野氏)という。
 中野氏は「ハナヤサイサンゴ属は大きくても1メートルを超えることはまれで、自然界でクローンをつくるのも珍しい」と指摘する。その上で「生物学的にも珍しいが、地理学、地質学的にも希少な発見。サンゴ礁の形成史の中で重要で、沖縄のサンゴの多様性を考える上でも良い材料だ」とさらに研究を進める考えだ。
英文へ→130-meter long coral reefs found in Gushikawa Island, Izena