がん患者2割復職できず 沖縄県が初の大規模調査


社会
この記事を書いた人 新里 哲

 県内のがん患者とその家族を対象に、県が初めて実施した大規模調査の結果が13日、報告された。診断時に仕事をしていた患者223人のうち、「治療や療養による一定期間の休業の有無」を尋ねたところ「休みを取ることなく退職・廃業した」と答えた患者の割合が8・9%、「一定期間休み、復職・復帰せずに退職・廃業した」が6・7%、「現在まで休んでいる」が5・8%で、合計で2割超の患者が復職できていなかった。

 アンケートは2015年12月~16年1月、がん診療連携拠点病院など計6病院を受診した患者や家族2109人を対象に行われた。回答者数は558人(回収率は26・5%)だった。結果は、県の第2次がん対策推進計画(13年度~17年度)の中間報告「分析報告書」で紹介された。回答者のうち「がんと診断された時、収入のある仕事をしていた」と答えたのは40%だった。このうち、「医療スタッフから、就労を継続することに関して、必要な情報を得られたか」の問いに、「得られた」と答えたのは61%だった。一方「得られなかった」も32・7%いた。
 報告書は、取り組むべき課題として「がん患者の就労を確保するため、就労や生活の相談支援体制の整備、患者やがん経験者のための雇用創出が重要だ」と指摘している。この他に「がんと診断されたことで生活に不安を感じた」という患者が71%に上った。また「親せきや他の人から金銭的援助を受けた」は13・6%。「貯金を取り崩した。または借金をした」は25・6%いた。「がんの治療を変更した。または断念した」も3・8%いた。
 13日に琉球大学医学部で開かれた、16年度第1回県がん診療連携協議会(議長・藤田次郎琉大付属病院院長)で報告された。