「今が歴史の分岐点」 那覇で報道の在り方議論


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
米軍普天間飛行場移設問題の報道姿勢などを議論するパネリストら=13日、那覇市松尾の八汐荘

 民放労連主催の平和と憲法を考えるフォーラム「沖縄の声は届いているか~米軍基地・自衛隊配備と地方自治~」が13日、那覇市松尾の八汐荘で開かれた。琉球新報、琉球放送、共同通信の編集幹部や記者、沖縄大学の憲法学者らがパネリストとして登壇し、米軍普天間飛行場の移設問題に関する報道姿勢や自衛隊取材の在り方などを議論した。

 琉球新報編集局の松永勝利次長は、辺野古埋め立て承認を巡る国と県の裁判闘争で、可能な限り双方の陳述や会見内容を全文掲載した紙面展開を説明し「今が歴史の分岐点だという認識を持っている。未来の読者に対し、記録を残す取り組みでもある」と話した。
 琉球放送報道制作部記者の嘉手納央揮(ひろき)氏は「普天間飛行場が20年も動かないのは県内移設にこだわっているからだ。県外移設を議論することにより、日米安保の在り方を考えることにつながる」と述べた。
 沖縄大学准教授の高良沙哉(さちか)氏は、自衛隊那覇基地の機能強化や先島への部隊配備が進んでいるのに、自衛隊についての議論が不十分だと指摘し「住民に開示される情報が少なく、自衛隊のコントロールができていない。軍隊そのものが人間の安全を守るのかということから議論したい」と問題提起した。
 共同通信編集委員の石井暁氏は、尖閣諸島の現状について防衛省側の視点で解説し「尖閣を巡って中国と戦争が起きたときを考え、下地島空港に注目している。(管理者の県は同空港の軍事利用を否定するという)屋良覚書がネックだが、防衛省が攻勢に出ることが予想される」と語った。