【熊本県で真栄城潤一】熊本地震から1カ月が経過し、自宅の倒壊など大きな被害を受けた県出身者らの中には長く続いた車中での生活などにより、強いストレスを感じ続けている人もいる。熊本市東区にある宮城正和さん(67)=那覇市出身=の自宅は16日未明の本震で基礎部分に亀裂が入り、全壊と判定された。外壁には大きなひびが走り、庭は陥没した。室内の壁がはがれ落ち、ほとんどの食器が割れた。宮城さんは「今まで当たり前だったくつろげる場所と時間を同時に失った」と肩を落とす。
地震の後、どうにか建物の中に入ると余震の度に家全体がミシミシときしんだ。「基礎がやられているのでどうしようもない」と住み直すことはあきらめている。正和さんはレンタカーを庭先に止めて車中泊し、妻の喜美子さん(59)は近くに住む息子の家や親戚宅に身を寄せている。喜美子さんは「もう家に入るのは怖い」と首を振った。
宮城さん夫妻は16日にアパートへ入居できることが決まったが、自宅の片付けや引っ越し作業、罹災(りさい)証明の手続きなど、今後すべきことは多い。「長期戦ということを頭に置いて、また明日からできることをするしかない」。そう言うと、正和さんは壁にひびの入った自宅を見上げて唇をきつく結んだ。