自衛隊宮古配備 審議会報告“改ざん”要求 市長「権限超える」


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 【宮古島】宮古島市への自衛隊配備計画を巡り、市地下水保全条例に基づく市と沖縄防衛局の事前協議「市地下水審議会学術部会」(部会長・中西康博東京農大教授)が出した配備に関する否定的意見に対して、下地敏彦市長が修正を求めていたことが24日、分かった。

 市長の指示を受け、担当職員が自衛隊配備に関し、地下水に悪影響を与えるため「認めることができない」とした報告書案を、肯定的な内容へ修正するよう中西部会長にメールで求めていた。沖縄国際大学の照屋寛之教授(行政学)は「審議会の機能を台無しにする行為だ」と批判している。

 中西部会長が本紙などの取材に明らかにした。下地市長は取材に対し「部会の意見を認めると、自衛隊基地にかかわらず、全部の施設が建設できないことになる。部会に与えられた権限を超えていると思った」と釈明した。その上で長濱政治副市長に調整を指示したと説明した。中西部会長は「驚いたが、当然ながら改ざんを拒否した。部会をないがしろにする行為だ」と語った。

 市地下水審議会は市長の諮問機関。学術部会は2月に審議会の付託を受け、水質学や地質学の専門家らが2月15日と3月3日に審議し、報告書案を審議会事務局に提出した。翌4日に市長と長濱副市長が修正を求めているとするメールが市担当者から中西部会長に届いた。

 メールには二重線や赤文字で添削された修正案が添付されていた。基地建設・運用について委員6人中5人が一致した意見として「認めることができない」と当初記していたところ、「懸念がある」などと緩和した表現に修正を求められた。その他の複数箇所でも表現の変更を求めた。部会は3月8日に最終的な報告書を事務局に提出。だが、防衛局は3月末にいったん審議会を中断させ、4月末に修正図面を市へ提出した。

宮古島市地下水審議会学術部会の報告書案の修正を促す文書。二重線や赤文字で修正・削除箇所が示されている