政治

識者に聞く・争点と意義(3) 秋吉晴子氏

子の貧困 当事者目線で

 各候補が重要政策として子どもの貧困解消を訴えている。4年前までは福祉分野といえば待機児童問題だった。有権者は各候補の公約を確認し、表面的な知識に基づく政策なのか、現状に基づき考え抜かれた政策なのか見極める必要がある。

 子育て・教育支援は、現在の就学援助のような収入で区切る方法ではなく、一律に家計への負担をなくす手法が有効だ。収入のみで家計状況を判断できないからだ。借金や通院など家計を圧迫する別の要因を抱えている場合がある。一歩踏み外せば、厳しい状況に転落する不安を抱えた家庭は多い。支援を受けている家庭の子は貧困だというレッテル貼りの恐れもある。

 義務教育だけでも一般家庭にとって金銭的負担が大きい。その先の高校・大学への進学を想定する余裕はない。親に遠慮して子どもが進学を諦める場合もある。勉強する意義を感じる方が難しい。県内の学力向上のためにも、安心して教育を受けることができる環境を用意しなければならない。

 社会全体で子どもを育てるという意識が当然のこととして共有されてほしい。社会は、未来を担う子どもたちにできる限り投資するべきだ。

 政策提言の鍵は当事者の声に耳を傾けることだ。話を聞いて現状を知れば、どのような支援が必要とされているのか把握できるはずだ。同じ予算を投入するなら効果的に施策を講じなければならない。そのためにも当事者目線を盛り込んでほしい。

 当事者側が県議会に声を届けるには、時間と資金を費やして陳情しなければならないのが現状だ。日々の生活や子育てで精いっぱいで、実際に声を上げられる人は少ない。県議の側から積極的に当事者の意見を聞く機会を設けてほしい。

 注目が集まるような新しい政策を提案したがる傾向が強いが、既存制度の検証も重要だ。狙い通りに活用されていない制度は多い。新しい制度を次々と設けるより、既存の仕組みが機能していない原因を分析して改善を図るべきだ。

 子どもの貧困問題が注目を浴びるようになり、これまで関心を持っていなかった人も身近なこととして考えるきっかけになった。単なる「ブーム」に終わらせないためにも、好機を生かして県議会は超党派で政策提言してほしい。
(しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄代表)