沖縄科学技術大学院大学(OIST)と台湾の中央研究院の研究チームは12日、クマノミ類には、すみかとして共生するイソギンチャク類の個体を見分ける優れた能力があることを発見したと発表した。同日発表された米科学雑誌「Current Biology(カレント・バイオロジー)」に論文が掲載された。
発表によると、クマノミ類には、ほとんどのイソギンチャク種に共生できるクマノミのような種もいれば、ハマクマノミのようにイソギンチャクの中でもバブルチップアネモネのみに共生するものもいる。
実験では、バブルチップアネモネの遺伝子情報を解析し、遺伝的系統とクマノミ類との共生関係を図式化した。遺伝的系統はA~Dまでの4系統あった。
野生の環境下での共生関係を、飼育下でも識別できるのかを調べたところ、クマノミと共生する系統Aも、ハマクマノミが共生する系統Dも、野生の環境下と同じそれぞれの系統を選ぶ個体がほとんどだった。
研究チームのOIST海洋生態系発生生物学ユニットを率いるヴィンセント・ラウデット教授は「クマノミは人間に区別できない異なる系統を識別している。研究では見た目が同じに見えるバブルチップアネモネの種が、実は異なる可能性も示された」と述べた。
(慶田城七瀬)