【嘉手納】逆走した米軍嘉手納基地所属の米海軍兵2等兵曹(21)の車は、嘉手納町水釜の国道58号を北向けに走行していた軽自動車2台に衝突し、軽自動車の女性に胸骨骨折の重傷を負わせたほか、別の軽自動車の男性にも打撲のけがを負わせた。
現場の国道は片側3車線で、夜も一定の交通量がある緩やかなカーブの道路。容疑者の車両は、読谷村につながる比謝川大橋のある水釜方面から国道58号向けに進行。南下するため水釜交差点を右折したところ、名護方面に向かう北上車線に侵入し事故を起こした。事故直後、現場周辺は人だかりができ、騒然となった。
警察官が到着した際、容疑者は酔って足元がふらついていたという。
「事件による衝撃、痛み、喪失感は、言葉では言い表すことができない」。米軍属女性遺棄事件を受け、5月27日に会見したニコルソン四軍調整官ら在沖米軍幹部は黙とうし、事件事故の再発防止と綱紀粛正の徹底を誓った。それからわずか1週間後の事故に、目撃者も目を疑った。
「ドーンという音がした」と証言するのは近くのガソリンスタンドで勤務後、事故を目撃して通報した男性従業員=読谷村。男性従業員によると容疑者は頭を両手で押さえ「オーマイガー(大変だ)」と言っていたとし「様子がおかしく、飲酒しているのが見て分かった」という。通報後、県警や救急車、消防車、米軍の軍警(MP)などが次々と到着した。
事故直後に現場を通り掛かった新地雄太さん(19)=読谷村、学生=は「車が逆走することなんて、運転していて予測できることではない。いつ何が起きるか分からず怖い」と話した。米軍による事故については「またか、という印象だ。さらに米軍は飲酒してはいけない期間ではなかったか」と非難した。