“地域の社交場”金城商店 瀬嵩集落で唯一営業中


社会
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英子さん(左端)とゆんたく(談笑)する地元仲良しグループの中学生ら=5月28日、名護市市瀬嵩の金城商店前

 【名護】名護市瀬嵩区の共同売店が閉店(再開に向けて改装中)した現在、ムラ(集落)の店は金城商店のみとなった。「ハイサイ、ごめんください」と声を掛けると、奥から小柄な金城のおばー・英子さん(85)が顔を出す。

 終戦後間もなく、先代が始めた同商店を、嫁の英子さんが見るようになって45年ほどになる。10坪前後の店内には野菜類も含む日用雑貨が所狭しと並んでいる。以前は学校の体操着や衣類なども扱った。不思議なのは「医薬品販売業許可証」に基づき、今でも二十数品目の医薬品を扱っている。薬局の役割も果たし、田舎では随分助かったという。

 店の前は毎日掃除、打ち水がされて気持ちがいい。店先のベンチは、日中は近所のおばーたちの茶飲み話、夕方はおっ父ーやおじーたちの酒飲み話の社交場となる。時々、小学生らが下校時に宿題ノートを広げている。

 このように田舎のマチヤー(店屋)風景たっぷりの金城商店だが、店主の英子さんは「もう年には勝てんさー。そろそろ店じまいも考えないといかんねー」と口にする。しーぶん(おまけ)目当ての子どもらは「金城商店が閉まると困るなー」と漏らす。

 ムラの中からも「金城のおばー、なー、ちゅちばい、ちばいみそーれ(もうひと踏ん張り、頑張ってください)」の声が聞こえてくる。
(嶺井政康通信員)