米大使館安保課長「地位協定は機能している」 県議会抗議団に


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 【東京】在日米大使館のアーロン・スナイプ安全保障政策課長は10日、県議会が抗議決議で求めた日米地位協定の抜本的改定を巡り「日米地位協定があるから米軍は管理されている。地位協定は機能している」と述べ、県民ではなく米軍関係者の身分保護を優先した協定の趣旨を強調し、改定の必要はないとの見解を述べた。米軍属女性暴行殺人事件を受けた県議会の抗議団の要請の場で答えた。米軍属女性暴行殺人事件を巡っても「軍人が全て悪いのか」とも述べ、米軍全体に向けられる批判にいら立ちとも取れる姿勢を見せた。県などは地位協定が事件・事故を誘発する要因だと指摘しており、県民の認識とはかけ離れた発言に批判が出ている。

 要請した県議団によると、スナイプ氏は「(事件・事故が起こった場合に)不起訴になったときに今の地位協定なり、在沖米軍の内規でそれ(処罰)をすることができる。だから地位協定がある」と述べ、「地位協定の運用の改善が効果的だ」との見解を示した。
 これに対し、要請団の新垣清涼団長が「認識が違う。地位協定によって米軍が守られているから、一向に状況が変わらない」と指摘した。その上で米軍関係者の民間地域への立ち入りを禁止するべきだと訴えたが、スナイプ氏は「米軍と(民間人)の壁ができてしまう。軍人が全て悪いのか」などと応じた。
 琉球新報は在日米大使館に発言の真意や事実確認を求めたが「外交に関わることで話したことを外部に伝えることはしていない」と内容には言及しなかった。
 要請団はそのほか、外務省、防衛省、内閣府、内閣官房などにも要請した。防衛省で対応した若宮健嗣副大臣は再発防止へ米側や関係機関と連携する考えを示した。