平和の礎、新たに84人刻銘 24万1414人に


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二
新たに刻銘された弟の正昌さんの名前に向けて手を合わせる真志喜正信さん=10日、糸満市摩文仁の「平和の礎」

 主に沖縄戦で亡くなった戦没者の名前を刻む糸満市摩文仁の「平和の礎」で10日、2016年度の追加刻銘が確定した84人(県内69人、県外15人)の名前が刻まれた石板が設置された。追加分などを含め、刻銘者は24万1414人となった。新たに刻銘された戦没者の遺族が訪れ、平和の礎の前で手を合わせた。

 作業員は小雨が降る中、本年度分の名前を追加した石板2枚を小型クレーンでつるし、礎の両側にはめ込んだ。石板を傷つけないよう慎重に取り付けていた。県内出身者の追加刻銘には本島内での戦没者のほか、パラオで亡くなった人なども含まれている。
 宜野湾市の真志喜正信(せいしん)さん(76)は、戦中に0歳で亡くなった弟、正昌(せいしょう)さんの名前が新たに刻まれた礎の前で手を合わせた。
 正信さんは母親と祖母と正昌さんの4人で宜野湾市普天間の壕に身を潜めていたが、正昌さんが泣き出すと、壕から追い出されることもあった。泡瀬や野嵩、具志川の収容所を転々とした後、正昌さんは具志川の収容所で熱が出て亡くなった。正信さんは「自分だけがぜいたくして生きてしまった。弟がかわいそうでずっと気になっていた」と振り返り「刻銘できて良かった。弟がこの世に生きていたということを(礎を通して)子や孫に伝えたい」といとおしそうに、刻銘された名前をなでていた。