沖水生、参院選投票できず 航海実習、船員手帳なく


この記事を書いた人 新里 哲

 県立沖縄水産高校(大城栄三校長)の実習船「海邦丸5世」に乗り込んだ海洋技術科の3年生ら計19人が、「18歳選挙権」が初めて導入される7月10日投開票の参院選で、投票権を行使できない状態になっていることが13日までに分かった。「船員手帳」があれば船上での投票は可能だが、実習生は船員とみなされず、手帳が交付されていないため。政府が導入した18歳選挙権で投票できる権利が制限されることになり、琉球大学の島袋純教授(政治学)は「誰もが確実に投票できる制度を整備するのは国の責務だ」と指摘している。

 洋上投票を担当する総務省選挙課は琉球新報の取材に対し「公職選挙法施行令の規定で洋上投票の手続きには船員手帳が必要だ。(生徒らが所有する)練習船実習生証明書では手続きできない」と述べ、救済措置を取る意向は現時点で示していない。

 同校によると、海邦丸5世に乗船している実習生は海洋技術科3年30人、専攻科漁業科7人、専攻科機関科8人の計45人。今回の参院選で投票権を得る生徒は、海洋技術科3年の4人と専攻科の全15人の計19人だという。

 総務省選挙課によると、業務として船舶に乗り込む船員に対しては洋上投票の手続きが可能。だが、同校の実習船に乗船する水産高校生徒に身分証として発行されているのは「練習船実習生証明書」で、洋上投票の手続きで船員手帳の代替として使えないという。