国の文化審議会で宮古島市の「宮古島保良(ぼら)の石灰華段丘(せっかいかだんきゅう)」の天然記念物への指定、「旧仲宗根氏庭園」の登録記念物(名勝地関係)への登録、石垣市の名勝「川平湾および於茂登岳」の追加指定が答申された。今回の答申について、地元から喜びの声が上がるとともに、保存へ向けた機運も高まっている。
宮古島 学術的な価値高く
【宮古島】宮古島市城辺保良の宮土(みゃーどぅ)地区の崖下にある「石灰華段丘」が天然記念物に指定、同市平良東仲宗根の「旧仲宗根氏庭園」が登録記念物に登録される。
市総合博物館協議会委員の安谷屋昭さん(79)は石灰華段丘を発見し、世に知らしめた一人。「主に石灰岩で形成される宮古島の特徴的な地形が石灰華段丘を作った。学術的に重要なだけでなく、観光資源や教育でも活用できる」と強調した。
崖上の雑木林が雨を保持し、炭酸カルシウムを含む地下水として崖下に流れ込んだことから、石灰華段丘が形成された。安谷屋さんは「地下水を枯らさないためにも、今指定されている範囲よりも広く崖上の雑木林を守るべきだ」と指摘した。
旧仲宗根氏は宮古島の旧士族の一つで地元では「忠導氏(ちゅうどうじ)仲宗根家」と呼ばれる。現在、遺跡の残存状況や建造物跡などの確認のため敷地内を発掘調査中だ。
宮古郷土史研究会会員の久貝弥嗣さん=市教育委員会職員=は「庭園は昭和4年に首里から庭師を呼んで造られた。当時、宮古で庭園を持っている人はおらず、一種のステータスの意味合いがある。沖縄本島と宮古の関係を知る上で、重要な庭園だ」と説明し、発掘調査を続けていくとした。
石垣 一体的な保全期待
【石垣】石垣市の名勝「川平湾および於茂登岳」は昨年に続き、於茂登岳南北側の山裾と川平湾に浮かぶ川平小島など範囲を拡大し追加指定される。1997年9月に指定された名勝で、今回追加分の約300万平方メートルと合わせ、面積は計約2900万平方メートルとなり、市が予定していた範囲全ての指定が完了した。
追加指定で於茂登岳は山頂から裾野まで一体的に囲うことができ、多くの希少動植物を育む亜熱帯の自然環境の保全が有利になると期待されている。
市教育委員会の石垣安志教育長は「個人の方にも協力をいただき追加指定ができた。歴史的、民俗学的にも重要な場所。この環境を守り伝えることは精神文化を支える一助となる」と話した。