<軍属事件県民大会>知事あいさつ(全文)


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<元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会>知事あいさつ(全文)

 はいさい、ぐすーよー、ちゅううながびら。炎天下の中、県民の皆さんが結集いただいたことを心から感謝申し上げる。今回の事件によって、お亡くなりになった被害者のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に対し心から哀悼の意を表する。そして、このような非人間的で女性の人権をじゅうりんする極めて卑劣な犯罪は断じて許せるものではなく、強い憤りを感じている。

 先日、被害者が遺棄された場所に花を手向け、手を合わせてきた。心の底から「あなたを守ってあげることができなくてごめんなさい」という言葉が出てきた。21年前のあの痛ましい事件を受けての県民大会で二度とこのような事故を繰り返さないと誓いながら、政治の仕組みを変えることができなかったことは政治家として、知事として痛恨の極みであり、大変申し訳なく思っている。

 先月、安倍(晋三)首相にこの事件について抗議した際、県知事として県民の生命と財産、尊厳と人権、そして将来の子孫の安心と安全を守るために日米地位協定の見直しを強く要望し、運用改善による対応では限界であることを県民は等しく認識していることを伝えた。このような凶悪事件が継続して発生したことは広大な米軍基地がある故であることもあらためて強く申し上げた。

 しかしながら、非人間的で凶悪な事件が明るみに出た直後の日米首脳会談であったにもかかわらず、安倍首相は日米地位協定の見直しに言及せず、辺野古移設が唯一の解決策であると言っている。この問題を解決しようとする先にいかに大きな壁が立ちはだかっているか、私たちは思いをいたさないといけない。私たちは心を一つにして、強い意思と誇りを持ってこの壁を突き崩していかなければならない。今日の日をあらためての決意の日にして、全力で頑張っていこうではないか。

 さらに安倍首相には沖縄は戦後、米軍施政権下で当時の高等弁務官から「沖縄の自治は神話である」と言われたこと。総理は常々日本を取り戻すと言っているが、この中に沖縄は入っているのか。現在の日米地位協定の下では米国から「日本の独立は神話である」と言われているような強い思いを感じていることを伝えた。

 昨年に引き続き、ワシントンDCに行き、辺野古新基地建設が環境問題を含め大変厳しいことを連邦議会や有識者会議、米国の副大統領や駐日大使を務めたモンデール氏に訴え、しっかり説明した。米国で会った方々もこの1年間工事がストップしていること、裁判の和解勧告でも国に対して厳しい判断が下されていること、安倍首相がオバマ大統領に急がば回れと説明したことにも注目していて懸念していた。

 数日前には有識者会議のメンバーが辺野古唯一では問題が解決しないこと、それでなくても抑止力や地政学上の問題はクリアできることを提言している。少しずつではあるが、着実に前に進んでいることを感じている。

 安倍首相や菅(義偉)官房長官は「普天間飛行場は世界一危険だ」と何度も言及しているが、私が「本当に新辺野古基地ができなければ、世界一危険な普天間飛行場を固定できるのか」と何回も問いかけたが、一言も発することはなかった。政府が普天間飛行場周辺住民の生命、財産を守ることを優先にするならば、辺野古移設の進捗(しんちょく)にかかわりなく、残り3年を切った普天間飛行場の「5年以内運用停止」を実現すべきであり、政府には普天間飛行場の固定化を絶対に避け、積極的に県外移設に取り組むよう強く要望する。

 政府は県民の怒りが限界に達しつつあること、これ以上の基地負担に県民の犠牲は許されないことを理解すべきだ。私は県民の生命と財産、尊厳と人権、そして将来の子や孫の安心や安全を守るべき知事としてこのような事件が二度と起きないよう県民の先頭に立って、日米地位協定の抜本的な見直し、海兵隊の撤退・削減を含む基地の整理縮小、新辺野古基地建設阻止に取り組んでいく不退転の決意をここに表明し、私のあいさつとする。

 ぐすーよー、まきてぇーないびらんどー(皆さん、負けてはいけませんよ)。わったーうちなーんちゅぬ、くゎんまが、まむてぃいちゃびら(私たち県民の子や孫たちを守っていきましょう)。ちばらなやーさい(頑張っていきましょう)。