15年度平均賃金、職種6割超で上昇 求人おきなわ調査


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 求人おきなわ(那覇市)は21日、2015年度に週刊求人誌「アグレ」に掲載した求人広告の賃金を集計した平均賃金データを発表した。前年度に比べて求人件数が増加すると同時に、募集時の月給、時給も6割超の職種で引き上げられ、雇用環境の改善を裏付けた。外国人観光客増に伴う通訳業務や建設関連職種で平均月給が上昇する一方、福祉や介護関連など賃金条件が下がった職種は、求人応募が一層低調になるなど、人材確保の厳しさも強まっている。

 15年度の「アグレ」毎月第1週の1冊を抽出し、掲載された求人広告から職種別、業種別、雇用形態別に平均月給・日給・時給のデータや分布を調査した。

 求人件数は2万1520件で、14年度より1354件多かった。県内の有効求人倍率は復帰後最高水準の0・9倍台で推移しており、08年のリーマン・ショックで落ち込んだ求人が回復している。

 対象の平均月給は前年度と比較可能な110職種のうち74職種(67・2%)で上昇した。平均時給は102職種のうち70職種(68・6%)で上昇した。

 募集時時給は「600円以上700円未満」が前年度比8・9ポイント減の8・1%となる一方、「700円以上800円未満」が同1・7ポイント増の42・6%、「800円以上900円未満」が4・0ポイント増の22・5%などへ上方移行した。15年10月に沖縄の最低賃金が693円に16円アップしたことが底上げ要因となった。

 募集時月給を地域別平均で見ると、那覇市で前年度比1965円増の16万8397円、南部地区(那覇市を除く浦添市・西原以南)で同4687円増の16万2045円、中北部地区で同2039円増の16万2732円となり、各地域でそれぞれ上昇した。

 吉原英樹編集長は「失業率が改善して売り手市場となっており、時給700円では人を雇えない状況になりつつある。介護関連など人手不足だが待遇が上がってこない業種では、募集掲載が長期化するなど採用の難しさがある」と指摘した。

 求人おきなわは調査結果を「平均賃金データ2016」として冊子にまとめ、教育機関などに配布する。問い合わせは(電話)098(862)2490。