ハンセン病差別 切々と 回復者の金城さん、久高島で講演


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南城市立久高小中学校の児童生徒と触れ合う金城幸子さん(右)=27日、同校

 【南城=久高島】南城市立久高小中学校で27日、ハンセン病啓発講話会(県ゆうな協会主催)が開かれ、久高島で幼少期を過ごしたハンセン病回復者の金城幸子さん(75)が、島で初めて講演した。島での偏見や差別に苦しんだ過去を語り「いっときは恨んだこともあったが、常に久高を愛していた。島で語ることが夢だった」と涙ながらに語った。

 熊本で生まれた金城さんは1、2歳のころ、久高島の女性に引き取られた。「育ての母は私がハンセン病患者の子どもと知りつつも、引き取ってくれた。島の学校では大好きな友達と勉強したり遊んだり、楽しい思い出でいっぱいだ」と振り返る。だが、育ての母の結婚により、久高島から移住した与那国島でハンセン病を発症した。その後久高島へ戻ると、旧友からは石を投げられ、唾を吐かれ、棒を持った先生に追い掛けられるなど、つらい差別に直面した。

 「当時の子どもたちに罪はなく、大人の教え方が悪かった。友達は(差別をした)罪の意識をずっと持ち続けていただろう。それでも島を愛しているということを伝えたい」と声を震わせた。

 講演後、児童生徒を一人一人抱き締めた金城さん。「どんなに苦しくても、心が豊かであればいい。命を大切にし、人権は重いものだと知ってほしい」と語り掛けた。