沖縄県漁連、はえ縄切断で賠償要求へ 電波発せず米軍艦か


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 那覇地区漁協などに所属するマグロ漁船4隻が6月8日ごろ、沖縄本島南方、糸満沖の海域で米軍艦船とみられる船にはえ縄を切断された問題で、県漁業協同組合連合会(県漁連)などは5日、被害に遭った1隻の船主から被害内容を聞き取った。今後、残りの船についても帰港次第船主に聞き取りを進める。漁具が破損していることから、県漁連は今後米側に賠償請求する方針だ。

 はえ縄が切断された当時、2014年に起きた米軍艦船によるとみられるはえ縄切断の被害に遭った船が付近を航行しており、今回も14年と同じ形の船を見たと話していることが分かった。

 県漁連は、はえ縄切断の被害について、幹縄約3キロ分、枝縄60本、浮き5個が紛失したとした。被害額はまだまとまっていない。

 被害に遭った第八海邦丸の船主・新沼明さんは同日、琉球新報の取材に応じた。新沼さんによると、はえ縄を切断したとみられる船は、一定以上の大きさの船に搭載が義務付けられる船舶自動識別装置(AIS)の電波を発していなかったという。

 新沼さんは「航行が軍事機密のため、出していなかったのではないか」と推察した。その上で「国が海洋調査をする時などは事前連絡があり、それを避けて操業することができるが、何の連絡もないからこういうことが起きる。本マグロの最盛期に漁具が被害を受けた影響は計り知れない」と話し、3年連続ではえ縄の切断が起きていることを踏まえ、米軍などに再発防止策を求めた。