国頭村の揚水発電所廃止 電源開発、世界初の海水利用施設 沖電への売電交渉不調


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦
沖縄やんばる海水揚水発電所=国頭村安波(1999年3月撮影)

 世界初の海水を利用した揚水発電所として、電源開発(本社・東京、Jパワー)が沖縄県国頭村安波で運転してきた「沖縄やんばる海水揚水発電所」が、19日付で発電所として廃止されたことが25日分かった。同発電所は国が建設費320億円を投じて1999年に完成。離島など海洋地域に適した再生可能エネルギーシステムとして実用化を目指してきたが、沖縄電力との売電交渉が不調に終わるなど商業ベースに乗せることが見通せず、電源開発は施設の継続を断念した。

 発電所を管理する電源開発石川石炭火力発電所(うるま市)は「試験レベルの役割を終え、営業運転として活用できないかを沖縄電力とも話してきたがまとまらなかった」と説明。2014年に国から払い下げを受けた敷地や施設の跡利用については未定とした。

 電源開発は試験設備の位置付けで運転・管理し、運転に要する費用の一部を沖電が支払う形で、電力需要ピーク時の補完電源として発電を指示してきた。沖電は、海水揚力発電の緊急時対応能力など研究データを集めていた。

 沖電によると電源開発との間の研究利用の契約は14年度までで終了。沖電広報室は「(閉鎖による)電力の安定供給上の影響はない」とした上で、電源開発との交渉経緯は「回答は差し控える」とした。(与那嶺松一郎)