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平良啓子さんの遺志をつなぎたい <2023年度社会科新聞コンクール入賞者に聞く>2 


平良啓子さんの遺志をつなぎたい <2023年度社会科新聞コンクール入賞者に聞く>2  対馬丸記念館(那覇市若狭)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

2023年度に開催された第25回沖縄県中学校社会科新聞コンクールに3760人の応募がありました。その中から対馬丸平和賞に選ばれた松村十和さんに、テーマの選び方や、新聞を製作する上で工夫した点などを聞きました。

対馬丸平和賞 「つなぐ」 松村十和さん(首里中3年)

ーこのテーマを選んだ理由は。

新聞づくりに取りかかる2023年7月末に、対馬丸事件の語り部の平良啓子さんが亡くなったというニュースを知りました。叔母が対馬丸記念館(那覇市若狭)で働いていたこともあり、もともと対馬丸事件について関心がありました。そこで、平良啓子さんの生涯をテーマに新聞を書こうと決めました。

ー情報収集の方法は。

まず、新聞で平良さんについての記事を集めました。自宅で琉球新報、祖母宅で沖縄タイムスをとっていたので、両方の記事を読み込みました。また、琉球新報と沖縄タイムスのデジタルサイトでも平良さんについて調べました。対馬丸の証言をもとに作られたアニメも見返しました。

新聞記事で平良さんの生涯や残した言葉を学んだ上で、対馬丸記念館に見学に行きました。実際に子どもたちの遺品や遺影、証言を見ると本当にあったことなのだという実感がわきました。

「平良啓子さんを偲んで」というテーマで新聞を書こうと思っていたので、新聞記事で平良さんの一生や言葉を追い、記念館では対馬丸事件自体を調べました。

ーまとめ方で工夫した点は。

新聞を読んだり、対馬丸記念館を見学したりして強く実感したのは、戦争で亡くなった人、生き残った人、そして戦争体験を語り継いでくれる平良さんのような人がいるおかげで私たちがあるということです。次は私たちが「未来に平和をつないでいく」という思いを込めて、「つなぐ」というタイトルにしようと決めました。

記事を書くときには、平良さんの言葉や情報を改変しないよう、平良さんの遺志をきちんと伝えられるように、集めた情報の中から一番適していると思う言葉を盛り込みました。

トップ記事で、平良さんの生涯を紹介し、タタミ記事で対馬丸記念館を見学して感じた思いを書きました。そしてセカンド記事では、私がとても共感した平良さんの言葉から、平良さんについて考えたことや思いをまとめました。

ー見出しやイラストにも力が込められています。

罫の色は海をイメージした青を選びました。平良さんの写真を見ると、青系の服を着ていることが多かったので、服は青色にしました。イラストはできるだけ忠実に再現するよう丁寧に描きました。見出しの文字はテーマにマッチするような字にしたいと思い、パソコンで打った文字を、そのまま写し取ってレタリングしました。

見出しは平良さんの遺志が伝わるように、そしてパッと見て興味をひくような言葉にしたいと思いました。見出しの文字が小さくなりすぎると見づらいし、伝わらなくても困るので、長くなりすぎないように気をつけました。

ー心掛けたことは。

1年生のときには、捨て猫・捨て犬について調べて新聞を作りました。そのときも、この問題を誰かに伝えたいという思いがありました。今回の平良啓子さんと対馬丸についても、誰かにこのことを伝えたいという思いがあるからこそ、書けたと思います。今後も、自分が興味のあることをテーマに新聞製作に取り組みたいです。