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噴き上がる炎と黒煙 子供抱き逃げた 「ヘルプ」米兵の叫び声 <米軍ヘリ 沖国大に墜落>


噴き上がる炎と黒煙 子供抱き逃げた 「ヘルプ」米兵の叫び声 <米軍ヘリ 沖国大に墜落> ヘリの落下物を調査するために住民らの立ち入りを規制する米兵=13日、宜野湾市宜野湾
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 「ドーン」。夏休みのキャンパスを引き裂く墜落した米軍ヘリの爆発音。火柱を上げながら、もうもうと舞い上がる黒煙。十三日午後二時すぎ、突然のヘリ墜落に、宜野湾市の沖縄国際大学キャンパスは騒然となった。住民は「ヘルプ・ミー」と叫ぶ米兵の声におびえ、グラウンドでは学生らが散り散りに逃げる。本館から逃げた職員らは恐怖に震えた。現場周辺には、大小の部品が数多く落下。窓を破って破片が飛び込んできた住宅もあった。住宅街、大学と米軍基地が隣り合わせにある危険な現実があらためて突き付けられた今回の墜落事故。「少しでもずれていたら…」「一秒でも早く飛行場を移してほしい」—。目撃者や市民は衝撃を隠せない。

 「ヘルプ・ミー、ヘルプ・ミー(助けて、助けて)」。墜落直後、米兵の叫び声を墜落現場の道向かいに住む女性(二五)は聞いた。女性は生後二カ月の双子の息子と三人で自宅で昼寝をしていた。

 「突然、すさまじい音がして飛び起きた。爆発音が何度も響き、窓の外では炎と黒煙が上がっていた。危ないと思い、すぐに子供を抱きかかえ、外に逃げた。玄関にヘリの大きなプロペラが落ちていた」と説明する。「もしかすると、死んでいた。子供は泣き叫び、私も震えが止まらなかった」と恐怖を話した。

 ヘリが衝突した棟の一階事務室で仕事中だった派遣職員の女性(二四)は「揺れた後、ごーっと音がして事務所の窓ガラスが割れ、炎が二十センチくらい中に入ってきた。ショックで、腰を抜かしたが、何とか逃げた。窓側の職員は休みで、風圧でガラスの破片が飛んできたが、けが人は出なかった」と話した。

 「沖国大にヘリが墜落した。近くの消防に連絡してください」—。建設会社勤務で沖縄市消防団分団長の新垣萬榮さん(六二)=沖縄市=は、携帯電話で沖縄市消防本部に通報した。

 新垣さんは、卒業証明書をもらうため、本館の玄関にいた。突然「ドーン」と大きな音。本館から職員らが外に出てきた。ガス爆発かもしれないと思い「運動場に避難してください」と声を張り上げ、学生らを誘導した。

 墜落したヘリから約二メートル離れた草むらから顔や頭から血を流した一人の米兵がはって出てきた。墜落直前に飛び降りたのか、歩けない様子だった。すでに、基地内から別の米兵四、五人が到着し、けがをした米兵を収容した。「私がいた玄関と墜落現場は五十メートル。少しでもずれていたら大惨事になっていた」と振り返った。