IT生産額4千億円突破 沖縄県内、アジア展開向け拡大 15年、企業数・雇用も過去最多


この記事を書いた人 Avatar photo 与那嶺 明彦

 沖縄県内の情報通信(IT)関連産業の2015年生産額が4099億1100万円となり、初めて4千億円台を突破したことが9日までに、県情報産業振興課の調査で分かった。6千億円台の観光収入に次ぐ、新たなリーディング産業として沖縄に立地する企業数や雇用者数も過去最多を更新している。県担当者は「県や国による支援制度に加えて、自然災害のリスク分散地としての地理的優位性やアジアへの近接性、豊富な若い労働力が成長の要因になっている」と分析する。

 生産額のうち県内企業が56・3%の2306億2千万円、県外からの立地企業が43・7%の1792億9100万円になる。

 生産額の業種別内訳はソフトウエア開発が1436億円と最も多く、通信・ネットワークが1327億円、コールセンターが651億円、情報サービスが410億円、コンテンツ制作が218億となった。

 県外から立地する情報通信関連産業の企業数は02年は52社だったが、15年は7倍超の387社に増加した。立地企業の雇用者数は02年の4899人に対して15年は5倍超の2万6627人まで拡大。生産額は04年度の2203億円から15年は約2倍となり右肩上がりで増加している。

 県は近年、アジア―沖縄―首都圏を海底光ケーブルで結ぶ沖縄国際情報通信ネットワークの構築や通信費低減化支援事業の充実などで通信環境の整備を進めており、高速・大容量・低価格のネットワークサービスを提供して企業の進出を後押ししている。立地企業数は4年続けて年40社台の増加ペースで伸長し、雇用者数は毎年千~2千人前後で増加している。

 県が策定した「アジア経済戦略構想」では重点戦略の一つに「アジア有数の国際情報通信拠点『スマートハブ』の形成」を掲げている。実施計画「おきなわSmart Hub構想アクションプラン2」で17年度目標について、生産額4840億円、立地企業数は380社、同雇用者数は3万4千人に設定している。

 県担当者は「これまでの取り組みで整備された情報通信産業のクラスターを基礎にアジアへ展開して企業と人材、情報の集積を促進させたい」と話した。