大腸がん死、抑制へ 沖縄県診療協、症例検証計画を始動


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大腸がんの死亡数削減プロジェクトを始めることで合意した県がん診療連携協議会=琉球大学医学部

 県がん診療連携協議会(議長・藤田次郎琉球大学付属病院院長)が12日、同大医学部で開かれ、全国に比べて男女共に死亡率が高い大腸がんについて「死亡数削減プロジェクト」を立ち上げることを決めた。この中で、県内の大腸がんの全症例を集め、治療法の検証などに活用していく方向で合意した。

 県立中部病院の本竹秀光院長が提案した。活用するデータは、全国の外科医が担当した症例の詳細を登録する「ナショナルクリティカルデータベース(NCD)」の情報を活用する。NCDは全国的に、各病院の成績の全国平均との比較や、手術のリスク評価などに使われている。同団体のHPによると県内では琉大付属病院、県立病院、那覇市立病院など41施設が参加している。

 国際医療福祉大学大学院の埴岡(はにおか)健一教授は「NDCの記録は主に、各施設が自分の施設の成績を見るために使われている。地域の医療向上のために、複数の施設が記録を共有する例は極めて珍しく、先駆的な取り組みになるだろう」と話し、県の活動に期待した。

 県医師会の安里哲好会長は「『大腸がんの死亡が多い』という県民への周知を積極的にやっていく必要性がある」と述べ、大腸がんに特化した取り組みの意義を示した。

 国立がん研究センターの2014年データによると、75歳未満の人口10万人に対する大腸がん死亡者数は男性の場合、全国13・6人に対し沖縄19人で、都道府県別で2番目に多く、女性が全国7・7人に対し沖縄9・5人で最多。06~14年の県内の大腸がん死亡率の改善率は、男性が2%の改善だが、女性は14・7%悪化。いずれの改善率も全国平均以下だった。