燃料電池を実証実験 沖縄ガス、CO2年3割減見込む


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沖縄ガスが実証実験で扱うアイシン精機製造の「SOFC型家庭用コージェネレーションシステム エネファームtype S」(右側)と、湧川華江さん(中央)と大城邦夫部長=29日、那覇市泊

 沖縄ガスは8月から、県内初となる天然ガス(都市ガス)を燃料に発電する家庭用燃料電池の実証実験を那覇市泊の民家で始めた。使用する機器はアイシン精機製造の「SOFC型家庭用コージェネレーションシステム エネファームtype S」。発電出力は最大700ワットで、一般家庭の1カ月の消費電力の7~8割程度を賄える。さらに、コージェネレーション(熱電併給)システムを導入することで、エネルギーの利用効率を高め、家庭から排出される二酸化炭素(CO2)を年間約30%削減することができる。

 沖縄ガスによると、「エネファーム type S」の発電効率は52%で、従来の大規模発電所の約40%と比べて、高い発電効率となっている。熱効率は35%で、エネルギー利用の総合効率は87%になる。自家発電のため、停電時も安定して電気が供給されるほか、送電ロスがないなどの利点もある。

 同機器は県内で販売されていないが、沖縄ガスは1年間の実証実験で塩害に対する耐久性などがクリアできれば、県内での販売の実現性が高まるとの認識を示した。政府はエネルギー基本計画で、2030年までに家庭用燃料電池「エネファーム」を560万台普及することを目標に掲げており、沖縄ガスの取り組みにより、県内でも家庭用燃料電池の普及に弾みがつきそうだ。

 エネファームの導入により、電気料金が抑えられる半面、ガス料金が上がる。そのため、沖縄ガスは来年4月の都市ガス自由化も見据えて、料金プランの見直しを進めている。同社の大城邦夫エネルギー開発部長は「利用者が割安感を感じられる料金プランを提案したい」と述べた。

 エネファームを導入した湧川華江さんは「発電時のお湯を床暖房に利用できるなど、エネルギーを効率的に利用できることは大変素晴らしいことだ」と話した。