「辺野古新基地」に外来生物対策勧告 IUCNが採択 きょう総会


この記事を書いた人 Avatar photo 大城 誠二

 9月1日に米ハワイ州で開幕する国際自然保護連合(IUCN)の第6回総会に先立ち、非政府組織(NGO)6団体が辺野古新基地建設を阻止するため日米両政府とIUCNに沖縄本島の外来生物対策を求めて共同提出した勧告案が30日、賛成多数で採択された。IUCNの総会で沖縄の外来種問題が議論されるのは初めて。

 勧告に拘束力はないが、世界最大規模の自然保護ネットワークで沖縄での厳重な外来種対策の必要性が認められたことで、新基地建設計画の見直しを求める声が国際的に高まるのは必至だ。

 決議結果は、政府側が賛成80、反対2、棄権74、NGO側は賛成459、反対24、棄権204と、圧倒的多数での採択となった。日本も政府として加盟しているが、辺野新基地建設を推進する国の立場として棄権したとみられる。

 勧告は「島しょ生態系への外来種の進入経路管理の強化」で、日本政府に対して辺野古新基地建設の埋め立て工事に伴う、県外からの土砂搬入による外来生物の混入について「防止対策の徹底」を求めた。また米国へは埋め立て土砂や軍事活動を通じて入る外来種を防ぐ適切な方法を取り、日本政府と協力し、沖縄島へ入る外来種の影響を最小化することを求めた。

 勧告案は日本自然保護協会、ジュゴン保護キャンペーンセンター、野生生物保全論研究会(JWCS)、日本野鳥の会、ラムサール・ネットワーク日本、WWFジャパンが共同で今年2月に提出。8月3~17日の期間でIUCNの会員を対象に電子投票が実施された。

 IUCNは世界160カ国の政府や政府機関、NGOで構成される国際的な自然保護ネットワークで、野生生物の保護に大きな影響力を持つ。

 採択決定後、ジュゴン保護キャンペーンセンターは声明を発表。今後、今回採択された動議と、過去3度のIUCN勧告決議「環境アセスメントの見直しと沖縄ジュゴンの保護計画の策定」の履行を日米両政府に求める国際署名を実施し、辺野古大浦湾の埋め立て阻止の運動を展開する意向を表明した。