沖縄“振興”予算の呼称 予算上乗せ、と誤解 民主政権時に常態化


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 各省庁の予算を内閣府沖縄担当部局が一括で要求する沖縄関係予算について、「沖縄振興予算」と呼称することが常態化している。沖縄関係予算も全国と同様に国の直轄事業費や国庫支出金がほとんどだが、他府県と予算要求の仕組みが違い、総額がすぐに分かる上に、「沖縄振興予算」という名称が沖縄が他県と同じような予算を得ている上に、さらに上乗せされていると誤解される要因にもなっている。

 沖縄関係予算について、政府は復帰後、「沖縄開発庁関係予算」など、現在の内閣府沖縄担当部局に当たる沖縄開発庁が取り扱う予算だと呼称してきた。2001年の中央省庁再編によって沖縄開発庁が廃止され、内閣府沖縄担当部局ができた後も「内閣府沖縄関係予算」との名称が使われてきた。

 国会の議事録でみると、政府が「沖縄振興予算」という名称を使ったのは09年6月の衆院沖縄北方特別委員会で、当時の佐藤勉沖縄担当相(自民党)が発言したのが初めて。それまでは国会議員が「沖縄振興予算」との名称を使ったことはあったが、政府答弁としては残っていない。

 09年8月、民主党政権となった後は、11年に菅直人首相(当時)が施政方針演説で「沖縄振興予算」との名称を使った。12年の野田佳彦首相(当時)も本会議での答弁で使っている。そのほか民主党政権時の沖縄担当相も同様に使い続けていた。

 自民党政権に戻った後も、閣僚らが記者会見などで「沖縄振興予算」との名称を使っているが、国会での政府答弁として残っている件数は少ない。むしろ民主党政権で「沖縄振興予算」という言葉が一般化し、国会議員が国会の質疑などで使う場面が増えている。