旧久志12集落克明に 名護市史、沖縄戦編を発刊


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 【名護】沖縄戦中や米軍に制圧されて間もない時期の旧久志村12集落の様子などを盛り込んだ「名護市史本編3名護・やんばるの沖縄戦」が新たに発刊された。旧久志村の各集落の戦時下や戦争直後の記録は少なく貴重。戦闘で爆弾が落とされた場所や米軍に制圧された後の配給所、米兵詰め所など具体的な位置関係を記した地図や証言を集落ごとに初めてまとめた。現在の米軍キャンプ・シュワブ区域と重なる大浦崎収容地区は、本部町民が収容されていた地区の範囲が従来の通説よりも広がっていたことも明らかになった。

 同書は2005年4月から約11年4カ月間、市内外から戦争体験者ら400人以上の証言などを基にやんばるの沖縄戦の実相を体系的に網羅した。少年兵「護郷隊」、戦争体験者10人の手記、日本軍の慰安所なども盛り込んだ。林博史関東学院大教授の出版記念講演が12日午後6時半、市立中央図書館で行われる。

 名護市教育委員会市史編さん係の川満彰さんは「山中の戦争から沖縄戦の実相が見えてくる。食糧不足やマラリアなど各収容所の様子も具体的に見えてきた。(戦争編は)市町村史の中で後発だが、強みとして(各地区の新たな情報を)つなげていくことができたと思う」と語った。

 問い合わせは名護市教委市史編さん係(電話)0980(53)5402。