きょう敬老の日 六法愛読 金城さん(95)県内最高齢の司法書士


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県内最高齢の現役司法書士の金城政太郎さん。時間を見つけては「六法全書」をめくる=那覇市久茂地の「司法書士、土地家屋調査士 金城、與那嶺共同事務所」

 19日は「敬老の日」。県によると今年、県内の100歳以上の高齢者は1972年の統計開始以降、初めて千人を超え、1011人となった。人数で全国24位、人口10万人当たりだと70・5人で全国15位だ。太平洋戦争を経験し、戦後をたくましく生きた沖縄の高齢者は、現在も県内各地で元気に社会参画し、若い人たちを勇気づけている。

 那覇市久茂地に事務所を構える司法書士の金城政太郎(せいたろう)さん=豊見城市=は95歳。県司法書士会によると、県内の現役司法書士で最高齢だ。今も週5日午前8時半~午後5時半、事務所で業務に当たる。休日は、好きな陸上競技の大会や伝統芸能を見に行く行動派。特に那覇、与那原の大綱引きは、ここ50年、欠かさず見ている。金城さんは「新しい事を見たり、聞いたりすることに興味がある。一日一日を大事にしたい」と話す。

 戦後、1951年に沖縄群島政府法務局那覇登記所に採用された。糸満登記所所長を経て、71年に独立した。米軍による土地接収で境界線が分からなくなった土地問題や、相続人が南米やハワイに移住したケースなど土地に絡む事案を中心に、沖縄の事情を反映した問題に携わってきた。

 今でも年配の相談者からの信頼は厚い。「ウチナーグチの方が話しやすいという人もいるから」と金城さん。トートーメー(位牌(いはい))相続の相談を受けることもある。

 愛読書は「六法全書」。那覇登記所の時代、米軍統治下で六法が手に入らなかった。「東京に出張する人に古本屋で買ってきてもらい、職員みんなで回し読みしたよ」。今でも大切にする当時の六法を手に「六法はかつお節みたい。読めば読むほど味が出る」と目を細めた。

 「バスの窓から家並みや畑、木々の移り変わりを見るのが好きだ」と休日の外出はバスを愛用する。沖縄市の県総合運動公園陸上競技場まで、揺られて行くこともある。大綱引きの楽しみ方にも感性が光る。「旗頭が勇ましく、美しくて、平和を感じる。旗にある文字の在り方、意味も楽しむ」と話す。「周囲からは、健康が許す限り仕事を続けるように言われる。見聞きする事に関心を持ち、若さを失わないようにしたい」と笑顔を見せた。(岩崎みどり)