住宅建てずに太陽光パネル 大宜味村売却地、業者に転売


社会
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大宜味村津波の定住促進住宅分譲地で集落内に設置された太陽光発電=大宜味村津波

 【大宜味】大宜味村が売り出した住宅用地が転売され、設置された太陽光パネルに対し、地元住民から「反射光がまぶしい」と苦情が出ている。村は土地の購入者に対して5年以内に住宅を建設するよう規約を定めて売却したが、購入者は規約に反して住宅を建設せず、太陽光パネル設置業者に転売。業者は太陽光パネルを設置したが、村はこれまで土地を買い戻さず、抜本的な対応を取ってこなかった。村の不手際の結果として苦情が出ていることについて、地元の区長ら住民から「村は誠意を持って対応してほしい」との声が上がっている。

 村は約20年前、定住促進を目的にした宅地分譲地を村津波区に整備した。宅地分譲規定の順守事項は(1)契約締結の日から5年以内に住宅を建築する(2)契約締結の日から10年間は宅地を他人に譲渡しない―ことなどを定めた。

 一方、1999年に分譲地約378平方メートルを購入した那覇市の女性は村の規定に反して5年以内に住宅を建設せず、2015年に第三者に転売。規定の順守事項に違反した場合、「その宅地を村長が買い戻すことができる」と定められているが、村は女性に住宅を建てるよう指導しただけで買い戻さなかった。女性は指導に従わず、北中城村の太陽光パネル設置業者に転売した。業者は本紙の取材に対し「(太陽光パネルの設置は)法的に問題はない」としている。

 宮城功光村長は本紙の取材に対し「本来、村が買い戻しをしないといけなかった。既に(用地は)村の財産ではないので、対応するのが厳しい」と話した。

 大宜味村津波区の屋良朝之区長は「この区域に住宅ができると思って土地を買った人が、快適な暮らしができない状態が続いている。当事者同士の問題にせず村はしっかりと対応してほしい」と話している。

 村は、これらの問題を踏まえて県内で初めて太陽光発電の設置時に村に届け出を義務付ける条例を制定した。条例では、建築物の屋根や屋上に設置する太陽光パネルの設置を除いて、新たに太陽光パネルを設置する場合は住民説明会を実施し近隣住民の理解が得られるように努めることなどを求めた。条例は28日の村議会本会議で可決し、当日付で施行された。