台風18号 「早く元の生活に」 最強直撃島で猛威 久米島、農業も甚大被害


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強風にあおられてひっくり返った倉庫=4日午前、久米島町西銘(撮影・中島徹也通信員)

 統計史上、国内最大の強さとなった台風18号。直撃から一夜明けた久米島では4日、突風によって飛ばされた家屋などの後片付けに追われる住民や、作物の被害確認に走る農家の姿があった。同日時点で人的被害は確認されていないが、収穫を前にした農業、畜産農家は畑や畜舎に甚大な損害を受けた。フェリーの欠航により、生鮮食品などを中心にした物品不足も続く。4日午後11時時点で、1300戸で停電も続いている。住民は「早く元通りの生活になってほしい」と疲れた表情を浮かべていた。

台風で欠航になったフェリーの影響で入荷ができず、品薄になった商品棚=4日午後6時前、久米島町謝名堂のココストアイーフビーチ前店

 「数百万円の被害になるかもしれない―」。諦めにも似たような表情を浮かべながら話すのは畜産農家の国吉明さん(50)。台風対策は入念に済ませたが、牛舎の屋根や牛の餌になる牧草などが猛烈な風によって飛ばされた。復旧にかかる費用などは分かっていない。国吉さんは「牛に被害がないことがせめてもの救い。台風でこんな経験をしたのは初めてだ」と話した。

 サトウキビや大根、白菜、パパイアなどの農産物を出荷する与那嶺孝成さん(73)は作物のほとんどが猛烈な風と雨に被害を受けた。「作物は全部駄目になった」と肩を落とし「根から折れたサトウキビは全部駄目になる。今から風に耐えたサトウキビを立て直さないといけない」と話し、黙々と復旧作業に励んでいた。

 一方、町内は3日夜から停電が続いた。主要なスーパーは店を閉めざるを得ず、コンビニのみが営業を続けた。同町謝名堂のココストア久米島イーフビーチ前店には多くの客が詰め掛けた。訪れた女性(61)は「カップラーメンも買い占められ、弁当もない。他の店も閉まっているのでどうしようもない」と肩を落とした。

 同店は「明日、あさってにもフェリーが入って来ないと厳しい。欠品が多いのでどうにか早く食品を入荷してほしい」と求めた。