笑顔撮って30年 子どもたち飾る「ともぶん」


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飾られた写真の前で笑顔を見せる沖縄市立山内小の児童たち。比嘉典子さん(右端)も横で見守る=沖縄市山内のともぶん前

 【沖縄】沖縄市山内で学生服店「ともぶん」を営む比嘉典子さん(73)は、店頭のガラス窓に地域の児童生徒たちの写真を飾って30年になる。半年に1回新しい写真に交換し、これまでに飾られた子どもたちの人数は数知れない。比嘉さんは「子どもたちとにぎやかにできるから楽しいさ」と満面の笑顔を見せる。

 「帰りにおいでよ、写真写すから」。通学中の児童生徒に、比嘉さんは店頭でそう声を掛ける。学校帰りや遊び途中に通り掛かり、撮影された児童生徒たちの表情は、皆一様に笑顔だ。常時50枚ほどの写真を飾る。

 以前から店内が見えないように、内側から窓ガラスに紙を張るなどしていた。しかし「それだけでは面白くない。児童生徒の写真を貼った方がみんなも楽しめる」と考え、始めた。当時は地域の子どもたちとラジオ体操やドッジボールをして交流していたため、写真には困らなかった。

 「おばさん、自分のこと覚えてる?」と、卒業生たちが訪れて写真を撮ることも多い。ガラス窓の横にある自動販売機には、役目を終えた写真を入れる簡易袋がある。袋には「写真もらって下さい」の文字が。「自分の写ってる写真をもらうのが楽しみ」と、児童生徒たちは思い出を持ち帰る。

 店は設立から41年。山内幼稚園、小学校、中学校、球陽高、北谷高の学生服や体育着などを販売する。通りすがりの児童生徒に傷付いたノートや消しゴムをあげることもしばしば。

 「子どもたちと友達になれるのはうれしいし、元気がもらえるさ」と満足そうに話す比嘉さん。「あと30年はいける」と意気揚々と語る。これからも写真撮影を続け、地域に笑顔を届ける。
(長嶺真輝)