正社員「不足」5割 従業員定着に苦慮 沖縄企業動向調査


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 帝国データバンク沖縄支店は7日、人手不足に対する県内企業動向調査を発表した。正社員が「不足している」と回答した企業は全体の51・9%と半数を超え、1月の前回調査よりも5・9ポイント悪化した。2015年1月の調査開始以来、最高となった。全国平均は前回調査より5・3ポイント改善の37・9%だった。

 一方で、県内調査では非正社員が「不足している」との回答は37・2%で、前回より5・3ポイント改善した。正社員不足感の高まりは県内の雇用環境の改善と同時に、企業にとっては従業員の長期定着に苦慮するなど、労働力の確保が経営問題として深刻化しているといえそうだ。

 業種別にみると「鉄鋼・非鉄・鉱業」や「飲食料品小売」「自動車・同部品小売」など8業種で、回答した全ての企業が正社員が不足していると回答した。「飲食料品小売」「旅館・ホテル」「専門サービス」の3業種では、全ての回答企業が非正社員が不足していると回答した。「飲食料品小売」と「旅館・ホテル」は正社員・非正社員ともに不足とし、突出して人手不足感が強い。

 聞き取り調査では「職人の単価は高止まりが続いており、利益の確保が難しい」(建設)、「人材難による機会損失も含めて売上げが上昇する要素が少ない」(飲食店)といった意見が上がり、人手不足が経営に悪影響を及ぼしている実態が浮かぶ。

 沖縄支店は「人手不足に伴うコスト上昇は業績に与える影響が大きい上、新たな仕事の受注を抑制する要因にもなる」と指摘。その上で「消費回復に賃金上昇は欠かせないものの、企業業績の改善よりも先にコスト負担の増加が続けば、経済の好循環による景気回復を目指すアベノミクスにとってもマイナス材料となる」と企業体力の消耗に懸念を示した。

 調査は7月15~31日にかけて県内企業175社を対象に実施。54社から回答を得た。回答率は30・9%。