新電力大手のイーレックス(東京)は、2020年度にも沖縄本島に大規模なバイオマス発電所を新設する方向で調整に入った。投資額は100億~200億円程度になるとみられる。建設予定地は本島東海岸を想定しており、現在、場所の選定を進めている。発電規模は3万~5万キロワット程度を予定している。発電所が建設されれば県内最大のバイオマス発電所となり、4月に始まった電力の小売り全面自由化の動きが鈍かった沖縄でも電力会社間の競争が本格化する。
発電所の出力を5万キロワット、稼働率を75%と想定した場合の年間の最大発電量は約4億3800万キロワット時。一般家庭の月間電力使用量を260キロワット時とした場合、約10万世帯分の年間使用量に相当する。発電所の燃料はパームヤシ殻を予定しており、直接海外から輸入する方針。
イーレックスは自由化が始まった今年4月、沖縄ガスとの共同出資で合弁会社「沖縄ガスニューパワー」を設立し、10月から県内企業向けに電力を供給している。
発電所の建設が実現すれば、一般家庭向けにも電力を供給するとみられる。
イーレックスは本紙の取材に対して「バイオマス発電所を沖縄に新設したいとの意向はあるが、まだ何も決まっていない」と答えた。
バイオマス発電は再生可能エネルギーの一つで、仕組みは火力発電とほぼ同様だが、植物由来の燃料は成長時にCO2を吸収しているので燃やしてもCO2排出量はゼロとカウントされる。植物以外にも動物のふんや下水汚泥なども燃料に使われる。太陽光や風力発電と違い、天候に左右されず、安定的に電力が調達できるため、世界的に注目されているエネルギーの一つだ。