防衛局、北部訓練場返還計画を2村に提出 県は受理せず


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 米軍北部訓練場の部分返還計画を巡り、沖縄防衛局は14日、東村と国頭村に返還実施計画案を提出した。日本側への土地の「返還」の後に行う汚染調査、除去などを経た土地の「引き渡し」までの期間について、通常想定される2~3年程度をおよそ半分に短縮し、1年~1年半とすると明記した。両村は返還対象地をやんばる国立公園に早期に編入することを求め、世界自然遺産を目指すとしていることから、地元への配慮を示すことで部分返還の前提であるヘリパッド建設工事に対する批判を薄める狙いがあるとみられる。

 跡地利用特措法によると、2村は返還実施計画案の提出から60日以内に国に意見書を提出することができる。このため意見書の内容を反映した最終的な返還実施計画の決定・通知は、12月中旬以降となる見通し。国は北部訓練場の部分返還を「年内」に実現するとしている。

 同法は国が県からも意見聴取を行うよう定めている。県の意見書提出期限は村よりも短く、返還実施計画案の受理から30日以内。沖縄防衛局は14日、職員が県にも返還実施計画案を提出しようとしたが、県側は必要な事前調整を経ていないとして受理しなかった。防衛局は来週以降に再提出する方向。

 引き渡し期間の短縮は、日本側による土地利用を早期に実現する一方、汚染調査・除去作業が「日程ありき」で進めば、内容が不十分となる懸念がある。

 北部訓練場では過去に航空機事故が起きているほか、退役米軍人が枯れ葉剤を散布したと証言し、米退役軍人省もこれに関係する健康被害を認定した。しかし米国防総省は「記録がない」として否定し、場所は特定されていない。