[新聞週間インタビュー]若者主体の記事継続を 渡久山清美 琉大講師


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渡久山清美 琉大講師

 大学の講義で新聞スクラップの課題を学生に与えているが、ここ2~3年で学生の新聞離れが深刻だと感じる。この状況を打開するには、新聞を継続して読むことがメディア・リテラシーを高めるために必須だということを学生に体感してもらうことが肝要だ。幸い、私のクラスでは紙媒体の新聞の重要性を認識する学生がほとんどだ。

 学生自身が設定したテーマで60記事以上のスクラップを進めていくのだが、次第にテーマ以外の記事を読む興味が出てくるというのが、大半の学生の感想である。オンラインで読みたい記事だけを読む行為から、紙媒体の新聞でさまざまな記事や解説、社説を読むことにより、多様な視点から物事を考察することができるようになったと述べる学生が多い。

 学生が取り上げるテーマには、子どもの貧困、ブラックバイトなどを含む労働問題、奨学金返済や学力テスト実施を含む沖縄の教育などがある。心理的に身近に感じるニュースに人は興味を示すが、学生は専攻分野関連記事に加え、同年代が取材対象とされる記事をテーマに選ぶ傾向にある。また、約3割の学生が米軍基地問題を取り上げ、これまで知らなかったことや誤解に気付き、理解を深めたいと述べる学生が大半だ。

 新聞に対する提言としては、沖縄戦や米国統治時代が現代に続く貧困、教育、福祉に関わる諸問題と連関していることを示す歴史的背景に関する記事を掲載してほしい。

 子どもや若者を主体とした記事をこれまで以上に継続して掲載することが、若者の読者数を増やす鍵だ。同年代の人たちの困難や活躍を新聞で読むことで、若い世代の声が政治に反映され地域社会を動かす原動力となることを若者が実感できれば、政治・社会問題にコミットする素地ができ、投票率アップにつながることが期待できる。(ジャーナリズム)