警察庁、県警に「特別出向」 年度末2カ月半 米軍関係犯罪対策


この記事を書いた人 新里 哲

 【東京】米軍属女性暴行殺人事件を受け、政府が犯罪抑止のためにまとめた対策の一つ「警官100人の増員」について、警察庁が全国各警察の警官を本年度末の約2カ月半、沖縄県警に「特別出向」させる計画を進めていることが22日、分かった。関係者が明らかにした。米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設を巡り、大阪府警機動隊員が工事に反対する市民に対して差別的な発言をした問題がある中、県外からの警官派遣に警察関係者からは「反発があるのではないか」と懸念や実効性を疑問視する声が上がっている。

 「特別出向」は警察庁が今月18日、全国の各警察に「犯罪抑止対策に係る沖縄県警への特別出向」として人員を募るよう指示した。来年1月中旬から3月末までの約2カ月半の予定で、県内の「治安情勢」などで延長される可能性があるが、同年4月には出向人員を半数に減らす計画。米軍関係者らによる事件事故にも対応するため「渉外警ら係」がある県警本部生活安全部地域課自動車警ら隊のほか、本島内の各署への配置が予定されている。

 人員はヘリパッド建設の警備に機動隊を派遣した警視庁や大阪府警、千葉県警、神奈川県警、福岡県警、愛知県警からの出向が見込まれる。警察関係者からは「沖縄の事情を分からないと難しい」などとして短期間出向の実効性を疑問視する声もある。

 警官100人の増員は政府が米軍関係者による事件事故の再発防止に向け、関係省庁の局長級で構成する「沖縄における犯罪抑止対策推進チーム」が6月にまとめた対策の一つ。事件事故への初動対応のためパトカー20台の増強等を含めた「警察力の充実・強化」に位置付けられている。(仲村良太)