発言者は歴史的な事実を全く知らず、無自覚な差別的発言、ヘイト発言だ。使う言葉は無意識でも、日頃の考えが表出される。属する組織や構造の中で何を教えられてきたかが言葉になる。発言を個人の問題に矮小化してはいけない。
振り返ると、夏の参院選が終わるのを待っていたかのように工事が立て続けに始まった。沖縄への差別はむしろ、顕在化している。その裏側にそびえ立つのが、国であり現政権だ。沖縄戦やベトナム戦争からも分かるように、兵士は「相手は人間ではない」と思いこむように教育され、支配して当然という考えを植え付けられる。どの時代でも支配する側は差別的な言葉と意識を煽(あお)り立て、支配構造を構築してきた。それと同じではないだろうか。
「シナ」という言葉も二重差別だ。中国人に対する差別と、言葉を投げ掛けた相手に対する差別。何代か前の東京都知事も同じ言葉を意識的に使っていた。嫌悪感を覚える。
後で謝罪はしたが、大阪府の松井一郎府知事は、今回の発言について「売り言葉に買い言葉」と言った。しかし警察と市民は対等ではない。圧倒的に不平等な関係の中で「売り言葉に買い言葉」という論法は成立しない。政府は沖縄県に「話し合いを」を繰り返すが、しかし、これが政府の話し合いの姿勢なのか。私をはじめ、沖縄で暮らしていない者はさらに、この問題をしっかり考えなくてはいけない。