声の情報届けて22年 音訳サークル「やえせ」 20周年記念誌発行


社会
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町の広報誌や新聞などさまざまな情報を22年間、声で届けている音訳サークル「やえせ」=八重瀬町社会福祉協議会

 【八重瀬】目が不自由な人のために町の情報や新聞記事を声で届ける音訳サークル「やえせ」がこのほど、20周年記念誌を発行した。町の広報誌や社協だよりの他、新聞もチェックし気になった記事を朗読。月に1回録音し、「リスナーさん」と呼ばれる目が不自由な人に届けている。メンバーは「できる人ができる時にできることをやろう」と、和気あいあいと楽しみながら活動している。

 「やえせ」は1994年、町社会福祉協議会の音訳講習会後に発足したボランティアサークル。現在は町内の30~70代までの18人が登録。毎月の定例会で朗読する担当面を決め、その後それぞれ録音し、テープやCDに編集。郵便局が町内約10人のリスナーさんに無償で配達している。年に1回、リスナーさんとカラオケ大会で交流も深める。

このほど発行した20周年記念誌

 設立22年を迎えたが、1年かけて編集した20周年記念誌が完成した。100部を発行し、南部地区の社会福祉協議会に配布したほか、町内の小中学校に配布する予定。リスナーさんには録音したCDと共に渡す予定だ。

 設立当初からのメンバーの宮城嘉子(よしこ)さんは「定例会が楽しく、ストレス発散の場。心に負担なく続けられた」と振り返る。今年4月から会長を務める松川みどりさん(43)は「仕事が忙しく休んだ時期もあったが、気の合う仲間がいるから続けられる。必要とする人がいる限り、楽しく長く続けたい」と抱負を語った。

 7年ほど利用するリスナーの石原清さん(67)は「やえせ」のメンバーだったが、網膜色素変性症を発症。視力が落ち、視野も狭くなった。「町の情報や新聞を読んでくれるので助かる。毎月聞いていると声の調子で元気かどうか分かる。後輩を育てながらやってほしい」と期待を寄せた。