【電子号外】普天間爆音判決、飛行差し止め認めず 24億円超賠償命じる


この記事を書いた人 金城 美智子
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 米軍普天間飛行場の周辺住民3417人が、騒音の発生源である米軍機の実質的な飛行差し止めや過去、将来分の損害賠償を求めた第2次普天間爆音訴訟判決が17日午前、那覇地裁沖縄支部(藤倉徹也裁判長)で言い渡された。藤倉裁判長は「国は、本件飛行場における米軍の航空機の運航などを規制し、制限することのできる立場にはない」として、従来の基地騒音訴訟と同様に「第三者行為論」を採用し、飛行差し止めの請求を棄却した。
 
 騒音が受忍限度を超えていると認定し、うるささ指数(W値)75以上の原告に月額7千円、W値80以上の原告に月額1万3千円、総額約24億5800万円の損害賠償の支払いを国に命じた。将来分の請求も却下した。

 判決後、島田善次原告団長は「憲法よりも、安保条約が上だとの判決だ。賠償額は増えたが根本的な問題解決ではない」と述べた。

 藤倉裁判長は、日米両政府の「普天間基地提供合意」の違憲無効確認などの訴えについて「抽象的に国際協定の合憲性および効力について判断することを求めるもの」などとして、裁判で審理するための要件を満たさないと判断し、請求を却下した。

 2次訴訟は2012年3月に提訴され、原告数は1次訴訟の約8倍に上る。飛行場周辺の騒音コンター(分布図)でW値75以上の地区内や境界付近の住民が原告に名を連ねた。判決では、境界付近の損害賠償額について認めなかった。

 1次訴訟でも差し止めは棄却。損害賠償はW値75以上で月額6千円、W値80以上で月額1万2千円の支払いが国に命じられた。【琉球新報電子版】

判決を受けて「差止め、またもや認めず」「爆音違法と断罪」「米軍追従司法」と書かれた幕を広げる弁護士ら=17日10時12分、沖縄市知花の那覇地裁沖縄支部前