県中学駅伝、石垣第二(男子)と美東(女子)が初V 


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(写真左)石垣第二の5区・野中誠(右)から2位でたすきを受け取り、走り始めるアンカー・豊川想大=19日、那覇市(写真右)仲間と力を合わせ、初優勝を決めた美東のアンカー、佐々木陽加

 男子第40回・女子第29回県中学駅伝競走大会は19日、那覇市の漫湖を周回する男子6区間20キロ、女子5区間12キロコースで行った。男子は石垣第二(喜久本大河、親川友希、砂川大河、荒谷南登、野中誠、豊川想大)が1時間6分55秒で栄冠をつかんだ。女子は美東(西田瑞歩、島袋七星、嘉数莉未、山野凜花、佐々木陽加)が44分29秒で制した。両校とも初優勝だった。優勝と準優勝校は九州大会(12月3日・熊本県)に出場する。優勝校は滋賀県(同18日)で開催する全国大会にも県代表として出場する。

◇石垣第二 豊川 ラスト1キロ勝負制す

 先頭集団の順位が何度も入れ替わった混戦の男子レース。優勝への執念を最後まで持ち続けた石垣第二が一丸となって初の頂点に駆け上がった。

 3000メートルのタイムがチーム1位の喜久本大河が1区を担った。得意の集団内の走りの中で、那覇地区大会で好タイムを出した安岡の選手をぴったりマークし、中継所前のスパートで抜き4位でつなぐ。

 2区の親川友希は追い上げを見せ、先頭4人が横並びで中継所へ飛び込んだ。だが、たすきリレーで、他チームの選手にたすきを渡そうとして転んだ。「無我夢中で覚えていない。こんなこと今までなかったのに」(親川)。

 順位は落ちたが3区砂川大河は落ち着いていた。自分の走りに集中すると前方の安岡を抜き去り、ラスト800メートルで今帰仁を抜いて2位へ。いよいよ頂点が見え始める。

 4区の荒谷南登はすぐに2人に抜かれたが、オーバーペースでつぶれた地区大会の反省を忘れなかった。野球部で鍛えた体力で粘り、終盤に速度を上げ、ラスト500メートルで1位に躍り出た。

 5区は2年・野中誠。早めにスパートを仕掛け、途中で名護に抜かれて2位になったが「その方が差が開かない」と、あえて後ろに付きチームの勝利に徹した。

 5人の思いを胸に、残り2キロで名護に追いついたアンカー豊川想大。1キロ近く続いた並走中も「絶対に勝てる自信があった」と気持ちは切れなかった。苦しい展開に名護が遅れ始めると、その差を広げていき、ゴールの奥でガッツポーズする崎田尚孝監督の胸に勢いよく飛び込んだ。

 石垣第二の初優勝は大会事務局側も驚いたが、選手全員は「優勝するつもり」と当初から強気だった。初の九州と全国を前に、豊川は「他県勢はもっと速い。皆が自己ベストを20秒以上縮め、上位を目指す」と力を込めた。(嘉陽拓也)

◇振り向かず前見て全力 女子・美東 優勝「ドラマのよう」

 ゴール直前、最後の直線に現れた美東のアンカー・佐々木陽加は一切振り向かず、満身創痍(そうい)の中で、人さし指を天に向けてテープを切った。仲間がつないだ1位のたすき。「後ろが怖くて振り向けなかった」と、前へ前へと全力で脚を進めた結果、2位に22秒差を付けて初優勝を決めた。

 1区の西田瑞歩は10月の県中学陸上女子2年800メートル覇者。出走時につまずいたが、すぐにペースを上げ3位で2区の島袋七星へ。運動は得意でないが「自分の力がだせる」と駅伝を続ける島袋が一つ順位を上げた。

 3区の嘉数莉未が勝負を決めた。先頭を走る伊良波に並んだことは自身も驚いたというが「良い順位でつなぎたい」とさらにペースを上げ、トップに躍り出た。4区の山野凜花も「そのままつなげる」と最後まで気を抜かず、佐々木に託した。

 閉会式で優勝旗を手にすると選手に笑顔があふれ、九州や全国大会への気合も高まった。チームには選手も多く、大会出場の競争は激しい。切磋琢磨(せっさたくま)した仲間と優勝できたことに島袋は「ドラマみたいですよね」と快活に笑った。(嘉陽拓也)