沖縄文化協会賞受賞式 受賞3氏、決意新た


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
喜びをかみしめ賞状を手にする(右から)ティネッロ・マルコさん、近藤健一郎さん、玉城毅さん=19日、沖縄国際大学厚生会館ホール

 沖縄学の若手研究者に贈る第38回沖縄文化協会賞の受賞式が19日、宜野湾市の沖縄国際大学厚生会館で開かれ、受賞者3人が波照間永吉会長から賞状、副賞などを受け取った。受賞者らは「お世話になった先生方のおかげ」などと感謝し、新たな研究成果を目指す意欲を示した。

 受賞したのは、比嘉春潮賞が近世琉球の外交に関する研究に対してティネッロ・マルコさん(39)=法政大学国際交流基金招聘(しょうへい)研究員、仲原善忠賞が沖縄近大教育史の研究に対して近藤健一郎さん(49)=北海道大大学院准教授、金城朝永賞が沖縄の屋取集落の民俗学的研究に対して玉城毅(たけし)さん(50)=奈良県立大学准教授。

 受賞式に先立って3氏の研究発表が行われた。ティネッロさんは、日本による琉球併合を巡る琉球、日本、清(中国)間の交渉について、当時のグラント米大統領による調停が果たした役割を考察。グラント氏が日清間2国に限る問題とした結果、西洋列強は関与せず、琉球も正式交渉に入れなかったと分析した。

 近藤さんは方言札について発表。教育政策や教師の教育実践における「意図」の一方で、子どもの側の「実態」を実証的に解明する必要性を強調した。

 琉球・沖縄史における親族関係を研究してきた玉城さんは、近世琉球の身分制度と親族の関係について発表した。身分制度が消滅した近代以降も父系イデオロギーが文化的資源として機能し続け、親族集団の門中などが持続していると述べた。