1872年 国頭で沈没の英商船 調査で解明


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新たに発刊した村史「くんじゃん-国頭村近現代のあゆみ」を宮城久和村長(左から2人目)に手渡す村史編さん委員会の宮城克松委員長(同3人目)、宮城樹正副委員長(右端)、知花靖村史編さん室長ら=14日、国頭村役場

 【国頭】1872年に香港から米サンフランシスコへ向かう途中、国頭村宜名真の海岸で座礁し、沈没したイギリス商船「ベナレス号」の積み荷には茶や砂糖、米があったことなどが海底の文化遺産などを調査する「南西諸島水中文化遺産研究会」の調査で明らかになった。国頭村制施行100周年を記念し同村が10月末に発刊した村史「くんじゃん―国頭村近現代のあゆみ」に掲載された。

 ベナレス号が沈没した年代は従来の村史では1874年としてきたが、2年早い1872年であることも判明し、今回の村史に記載した。

 香港からサンフランシスコへ出発したベナレス号は台風に遭遇して、宜名真に漂着した。乗船していた18人のうち5人が生存して地元住民の親切な世話を受け、翌73年1月に迎えに来島したイギリス砲艦で中国へ向かった。

 ベナレス号を巡る記述に関し村史編さん室は「前村史と比べ、海底遺跡や英国の文献などの調査で、どのような船がどのような荷物を積んでいたのかなどの事実が詳しく分かってきた」と指摘し、新たな研究成果を反映させて分かりやすくまとめたと紹介している。

 ベナレス号などに関する企画展が17日から20日まで「道の駅ゆいゆい国頭」で行われ、海底調査で発見された鉄錨(かないかり)やワイン瓶やフォークの写真などを展示した。県立博物館・美術館の片桐千亜紀学芸員が講師の記念講演会「宜名真沖に沈没した異国船とオランダ墓の謎?」も20日、国頭村民ふれあいセンターで開かれた。