着陸帯差し止め仮処分申請却下 北部訓練場で那覇地裁


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那覇地裁がヘリパッド差し止めを却下する決定を出し、不当決定の旗出しをする住民側の弁護団=6日、那覇市樋川の那覇地裁

 東村と国頭村に広がる米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)建設を巡り、東村高江の住民31人が国を相手に工事の差し止めを求める仮処分申し立てで、那覇地裁(森鍵一裁判長)は6日、ヘリパッド完成後の騒音や低周波音被害の違法性が「十分に疎明されているとは言い難い」として、申し立てを却下した。住民側は決定を不服として福岡高裁那覇支部に即時抗告する方針を示した。

 ヘリパッド建設自体について初めての司法判断。森鍵裁判長は、国が高江で実施する騒音測定結果が、環境影響評価での騒音予測の範囲内であると指摘。そのため同評価には「一定の合理性がある」と認定した。同評価の予測値が環境基準を下回っていることから「違法な航空機騒音が発せられる恐れがあるとは言えない」とした。

 オスプレイについては、同機が離着陸するN4地区の騒音も環境影響評価の予測値を下回っているとして「オスプレイが離着陸するからと言って、同評価の合理性が失われることはない」とした。

 環境基準を上回る結果が出たとする渡嘉敷健琉球大准教授の測定結果については、信頼性に疑問を呈した。

 低周波音については環境影響評価での予測を超える低周波音の発生可能性を認めた上で「恒常的に強度の低周波音が発生されているとまで推認するには十分な測定結果が蓄積されていない」とした。加えて低周波音自体が生活や健康に与える被害の程度を「的確に把握するのは性質上困難を伴う」として、「人格権を侵害するものとして違法と評価することが可能なものであるとは言い難い」とした。

 決定を受けて沖縄防衛局は「沖縄の負担軽減のため、北部訓練場の過半約4千ヘクタールの年内の返還に向けて引き続き、移設工事を着実に進めていく」とのコメントを発表した。今月中旬ごろにはヘリパッドは完成する見通し。ヘリパッド建設を条件とする北部訓練場過半返還の式典は、22日に予定されている。

英文へ→Motion for temporary injunction to suspend helipad construction rejected by Naha District Court